かけ込み乗車されると車掌は
もう20年以上前のことですが、私の同期の人が用事のため乗ろうとした関東のとある私鉄で、発車ブザーが鳴り終わってすぐに乗車しようとしたらドアを閉められ、挟まれたまま再開扉もしてもらえなかったとか。
一緒にいた家族に車内からドアをこじ開けてもらって何とか乗車したというのですが、発車ブザーが鳴り終わればドアを閉めるのもある意味当然ですから、鳴り終わる前に乗車しなかった同僚が悪い、ということになるのかな。
私が在籍していた会社って、かけ込みだろうが何だろうがとにかくドアに当たらないようにすぐ再開扉しろ!と口酸っぱく言っていたし、かけ込み乗車でドアに当たってケガしても車掌がむちゃくちゃ怒られるという会社だったから、その感覚で乗ったと言っていました。
今は基本的に無理にかけ込まれてもドアを再開扉させることが多いと思います。
とにかくケガをさせたら負けという風潮が強く、お客さんへ危険だから駆け込み乗車はするなと啓発していても、結局ドアに当たったとクレームを言われるとなぜだか車掌が負けるという、変な流れになっています。
今でも強く言い返す鉄道事業者ってあればいいけど。
私が在籍していた会社では平成5~6年ごろまでは、かけ込み乗車でドアに当たったとクレームが来ても、会社側が駆け込み乗車する人が悪いと一蹴していたし、車掌の近くで駆け込み乗車したら直接車掌が文句を言っていた時代でした。
そういえばまだ学生だった1977~78年ごろ、国鉄大阪駅でかけ込もうとしたおばさんがドアに挟まれたのですが、車内にいた国鉄の職員(工務関係でそこそこ偉そうな人だった記憶が)数名が、
「オモロイおばはんや!」
「自分から挟まれに来とんねん」
と言って大笑いしていた光景は今でも忘れません。
それが今では全く逆の対応に……
10年ほど前かな、私が在籍していた路線でかなり無茶苦茶なかけ込み乗車をされた時に車掌が、
「危険ですから駆け込み乗車はおやめください」
と車内へ放送したら、
「多くの旅客の前で恥をかかされた!」
と本社へクレームが来て、かなりの騒動になったこともありましたし。
行先を確認せずにかけ込む人ってかなり多い
X(旧Twitter)で新幹線・京都駅でかけ込み乗車をしたら修学旅行専用列車で、名古屋駅で停車した際に駅員?にコックを使ってドアを開けてもらい降りたなんて話がありましたが、こういう人って案外多いですね。
区間運転列車で終着駅に到着し、お客さんを降ろして車掌スイッチを閉めた瞬間にかけ込んできたが、まさかお客さんだと思わずにそのまま引き込み線へ。
乗務場所を交替するために車内を歩いていくと、男性が一人だけちょこんとシートに座っている。
その時になってようやく何かおかしいと気づくのかキョロキョロし始めます。
こちらと目が合って口をポカーンとしているので、
「この電車はこの駅までで今引き込み線に入っています。あと10分ほどでまたホームに出ますので」
そういうときってたいていの人は軽くうなずく程度なんですよね。
勝手にかけ込みで乗車したのに怒る人も
先ほど例で、区間運転列車で終着駅に到着し、お客さんを降ろして車掌スイッチを閉めた瞬間にかけ込んできて、そのかけ込んだ人自身が間違って乗ってしまったとすぐに気づき、ドアをガンガン叩いてみたり車掌のもとへ来て
「なんで乗せるんや!」
なんて怒る人もいます。
なんで乗せるんやも何も、回送とか当駅までの表示を確認せずに勝手にかけ込んだくせに、なんて思いながらも、
「引き込み線からホームへまた出ますので、座って待っていてください」
とだけ告げて遠ざかります。
それ以上相手すると必ず絡まれますからね。
この同じパターンで、引き上げ線へ入換運転している時に背後のガラスを思いっきり叩かれて、
「間違ったからすぐに降ろせ!」
と騒がれたこともあります。
入換運転の最中に途中で止めるわけにもいかず、正規の停止位置に止めてから車内へ入ると、なんかすごく怒っているのですよ。
「なぜすぐに降ろしてくれないんだ!」
みたいな感じで。
「お前が勝手に閉まりかけのドアからかけ込んで乗ったのだろう! お前がしたことにまでこっちは責任は持てん!」
と怒鳴り返したら、しゅんとなって静かになった男子大学生がいた27~8年前の春……
発車標などを見ずにかけ込んで、
「この電車はなぜ○○には止まらないのだ!」
各駅停車しか止まらない駅へ行きたかったのに、優等列車に乗ってきて車掌だった私に文句を垂れるおじさんがいた昭和の末期。
発車標を大型化して細かい情報を出すようになったり、列車側面にまで種別や行き先の表示を出すようになっても、昔と同じように何も確認せずにかけ込む人。
そう思うと昔みたいに、発車標も車両の側面表示も不親切なくらいの案内表示のままでもあまり問題ないのかなと思ったりもします。