総武線で減速が間に合わない信号機が5カ所
読売新聞とNHKなどが報じていましたが、11月13日に遅延回復のために制限速度以内で通常より速い速度で運転中、西船橋駅構内で注意信号を確認したためブレーキ操作を行ったが、信号の建植位置までに所定の速度45キロまで落とすことができず67キロで通過。
運転士は非常制動を取ったので、その内方のR(赤)現示の信号機を超えることはなかった。
JR東日本が中央・総武線を点検したところ、報じられている西船橋駅構内のほか大久保駅構内や高円寺~阿佐ヶ谷間など5カ所でみつかった。
当該箇所の修繕とともに、他の路線についても調査をするようです。
原因については、制限速度より遅い速度で計算して設備の位置を決めたためだとみられるとコメントしているようですから、その路線や駅間の最高速度ではなく、通常時に運転している速度をもとに制動保安距離を求めて信号機を建植したようですね。
ちなみにJR東のHPを見ましたが(2023/12/13)、この事象についてはニュースリリース欄には記載されていませんでした。
本当はダメだけど珍しいことでもなく……
この制動保安距離が保たれていない信号設備ですが、私が担当していた会社の路線でもありました。
計算ミスというケースはあまりないのですが、例えば過去は問題がなかったけど後から柱を立てたとか、新しい設備を設置した、木の枝が伸びたからなど、いろいろな理由で制動保安距離を保てなくなったケースが多いですね。
それまで見えていた信号機が物陰に隠れてしまうようになり、信号確認後ただちにブレーキ操作しても間に合わなくなったというケースです。
乗務員が口々に信号の確認ができなくなったと言っても、上が動いてくれないからそのまま長年にわたって放置されることの多いこと。
計算ミスでもなければ、当初確認できていた信号機が確認できなくなったケースでもなく、とにかく運転士が気を付けて運転しろと言われていたケースも。
曲線部分に信号機を設けているのですが、擁壁があって直前にならないと確認できないのです。
信号機を現示を確認した瞬間に全制動を入れても絶対落としきれないのです。
「あの信号機は常にY(黄)だと思って運転しろ」
あらかじめ速度を落として接近していくとG(青)のことも多く、速度を落とすことで遅れてしまうのもイヤだったし。
なのでその信号機の現示色が線路に少し反射するので、その反射する色を見て信号を確認していたという……。
運転士の側でそれなりに対処して運転していたわけです。
車両によって間に合わないことも
最近の車両ではまず問題ないと思いますし、私がいた会社だけだとは思いますが、あまりもブレーキの利きが甘すぎてギリギリ間に合ったり、時には制限速度を超過して通過してしまう車両もありました。
当然のごとく雨が降っていたら速度超過確定。
駅に停車させる時はあらかじめ制動距離を増やすか、常に全制動で突っ込むかして対処できていたのですが、視認距離が短い箇所で信号を確認して制限速度以下に落とすのはやっぱり難ありでした。
書いていて思い出しましたが、東海道線を京都駅へ向かって下っている時、東山トンネル?を抜けたところの信号が通常はG(青)なのにたまにY(黄)の場合がある。
しかも曲線だから直前にならないと確認できないとかで、知り合いのJR西の運転士がぶつぶつ言っていたり、貨物の機関士が同箇所はコンテナ車ならば良いけど、ワム80000の時はブレーキの利きが死ぬほど悪く信号現示を確認してからでは100%間に合わないから、はるか遠いトンネルの中からブレーキをかけていたなんて言ってたなあ。
ということで、所定の速度から信号を確認後ブレーキ操作しても、制限速度以下に落としきれないことって意外とあるのです。