ATSのトラブル-3

元々のATSって信号機にR(赤)現示がある場合に、その信号機を超えないように強制的にブレーキをかけて衝突や追突しないようにと開発された装置です。
いまでは本来のATSが意味していたものとは違う装置になっています。
もちろん赤信号を冒進しないという基本的なものは残されていますが、赤信号以外の速度の超過についてもコントロールしています。
その中の一つに終端防護用のATSというものがあります。
終点の駅で行き止まりになっている構造の場合、列車は下手すれば終端部分に突っ込んで激突すると、車内の旅客だけではなくホーム上の旅客にも被害が及ぶ危険性があります。
そこでホーム端に衝突しないようにATSで防護するために、終端防護用のATSが設置されています。

行き止まりとなっている形状のホームへ進入する場合、ホーム先端辺りでは15~25Km/hくらいに抑えて進入するようになっていると思います。
25Km/hで進入するホームならば、ホームの中くらいで15km/h以下のATSがあったり、列車の停止位置からホームの端までの距離が短い場合には10km/hとか5km/hなどの制限を設けたATSを設置したりもします。
そして速度が少しでも高ければ全制動や非常制動によって列車を止めます。

低速できついブレーキが入ったときの衝動ってものすごく大きくて、終端防護のATSで引っ掛けてしまうと車内のお客さんは吹っ飛ぶんじゃないかというほどに。実際に転倒する方も多くいますから。
この終端防護のATSを引っ掛けた場合、私が勤務する会社ではしばらく乗務停止となって机上教育を受ける羽目になっていました。

でも機械ですから、たまに誤動作が起きるのです。
よくあったのは、停目にきちんと止めた後になぜだかATSが動作して警報音が鳴るケースです。
勤務していた会社では終端防護のATSが動作した場合、その事実が運転指令のパネルに表示されるので全部バレるんです。
ふつうに止めて警報音が鳴った場合でも運転指令には表示されるので、運転指令が駅の係員に指示して様子を見に来るのです。
駅の方もよく分かっていて、本当に速度超過で終端防護のATSを引っ掛けた場合には乗客が駅へ苦情を言いに行きます。
何も苦情が無いのならばまたATSの誤動作だろうって感じでした。

私ではなかったのですが、運輸部門のトップなどが添乗していた列車が、停目まで30~40m手前で停車してしまったことがあります。
停車したのはATSが動作したためだったのですが、運転士をはじめ添乗していた人たちも皆が速度超過はなかったことを確認しています。
それまでは運転士の言い訳なんて聞くこともなく乗務停止となっていたのですが、この一件以降は少しは運転士の意見も聞くようになりました。
今は運転状況記録装置が付いているから、詳細までわかるので冤罪はないのかな。