世間的には人気の住宅地だけど
私が駅勤務の頃に所属していた駅管区に、ちょっとやんちゃな人が多い駅がありました。
ふつうに会社や学校へ通う人はどちらかと言うとお上品な感じだったのですが、ごく一部の人たちがやんちゃでした。
世間的にはわりと良い住宅地として知られているのですが、勤務していた人間からはあまり住みたくは無い街だと認識されていましたね。
そのごく一部の人たちのせいなんですけどね。
食べるものない?
私がその駅で勤務していた時に実際にあった話です。
夜11時を回ったころ、やんちゃな人が自動改集札機の扉を蹴りながら通過し、勝手に駅務室内へ入ってきました。
「なあ、腹減ったんやけど何か食べるものない?」
正直目が点になりました。
いくらこの当時はコンビニがほとんど無い時代だからと言っても、駅へ食べ物の無心に来るなんてねぇ。
「駅に食べ物は置いてないけど」
私がこう言うと
「何でもええねん、食べられたら」
しばらく考え込んで、炊飯器にご飯が残っていることを思い出しました。
それを伝えると
「それでええねん!」
皿にご飯を入れてあげると、本当に一心不乱に白ご飯を食べ始めました。
「なぁ、醤油ない?」
醤油を渡すと白ご飯にかけて食べ干しました。
ホームでレースごっこ
この時のご飯少年なのかは分かりませんが、別の日にこの駅のホームでスクーターが走り回るという事件が起こりました。
この時は私ではなく、同期入社の人がこの駅を担当していたのですが、終電後に寝室で仮眠を取ろうとしていたら
“ぷぅぅぅぅぅぅーーーーん”
と言う音がホームから鳴り響いてくるそうです。
何事かと思ってホームを見ると、5~6台のスクーターがホームを走り回っているのです。
さすがに怖くなって管区駅長がいる駅へ報告し、そこから警察へ連絡して全員捕まったそうです。
この駅はシャッターで完全に閉め切る構造になっておらず、自動改集札機の横にはかなり広いスペースで団体客や車いすが通過するスペースがあり、簡単な柵で区切っているだけでした。
さらにホームへと続く通路はスロープ状になっており、簡単にスクーターが出入りできる構造になっていました。
捕まった人たちの話では、たまにホームへ侵入してレースごっこをしていたらしいのですが、そういう報告は上がっていませんでした。
“この駅周辺のやんちゃたちだから仕方がない”
と諦めていたから報告もしなかったらしいのですが・・・