昨年11月に走行中の根岸線車内のドアコックを操作して列車を急停止させたとして威力業務妨害の疑いで逮捕された男は、ほかにも同様の事件を起こしていたようだった。
非常用ドアコックと書かれている記事のほうが多いようですね。
ドアコックを操作して「開」位置にすると圧縮空気が抜けて、ドアを手動で開閉することができます。
ドアが少しでも開けば運転台の戸閉知らせ灯が消灯するので運転士はブレーキをかけて列車を停車させますが、万が一1カ所でもドアが開いた状態になっていて走行中の列車から旅客が転落すれば大変なことになりますからね。
ちなみに戸閉知らせ灯が消灯した場合には力行(モーターを回す・アクセルに相当)はできませんが、自動的にブレーキがかかるわけでもありません。
あくまで運転士が消灯に気付いてからブレーキをかけることになっています。
昔の古い車両だと戸閉知らせ灯が消灯するとカチッというリレーが切断する音で気付きやすいのですが、新しい車両では何も音はしないし知らせ灯自体が小さいですから、消灯してもすぐに気づきにくいような気がします。
ドアコックと言っても車両によってはあちこちに設置されています。
今回の事件で言われている非常用ドアコックは、ドアの周辺に設置されているそのドアのみを手動にできるコックのことですね。
片側3~4カ所のドアをすべて手動扱いにできるドアコックは通常車体の外側に設置されていて、コックの場所が分かりやすいように三角形や矢印がボディに書かれています。
乗務員室内にはその乗務員室が設置されている車両の片側(または両側)のすべてのドアを手動にできるドアコックがあったりもします。
客室内にその車両の片側(または両側)すべてのドアが手動にできるコックを設置している会社もあります。
ウィキペディアをちらっと見てみたのですが、ドアコックのことを「非常ドアコック」「Dコック」と呼ぶと書かれていましたが、私が勤務していた会社では非常ドアコックという呼び名はありませんでしたし、Dコックも別の意味で用いられていました。
先にいろいろなドアコックがあることを書きましたが、それぞれのコックごとにCコック・Dコック・Eコックというように名前が付けられていました。
※Bコックはあったように記憶しているけど、Aコックは無かったような気もするしメチャ古い車両にはあったような気もするし・・・
最近はこの事件にかかわらず、勝手にコックでドアを開けて降りてしまう人がいるようですね。
例えば人身事故で駅間の途中で止まってしまい、長時間缶詰めになるくらいならとコックを開いて線路上に飛び降りてしまったり、過走(いわゆる行き過ぎ・オーバーラン)してなかなか正規の定位置に戻らないからと勝手にコックを開いて降りてしまうとか。
このコックは乗務員の指示によって扱うことが基本で、むやみに線路内へ降りてしまうと他の列車との接触事故につながる危険性がありますし、勝手にコックを使っておりてしまう行為自体が威力業務妨害につながりますので、くれぐれも勝手にコックを操作して降りるなんてことはしないでください。