脱線はしたけど転覆しなくて良かった、震度6強の地震

日本の鉄道、特に新幹線の地震対策はたぶん世界でもっとも進んだシステムじゃないかな。

初期微動であるP波によって地震の大きさを計算(震央の位置、マグニチュードなど)し、自動的に警報を発するとともに非常ブレーキ(緊急ブレーキ)も投入されるシステムである「早期地震警報システム」が無ければ、「やまびこ223号」は脱線だけでは済まず車両が横転するなど転覆してしまい、乗員乗客にもっと大きな被害を与えていた可能性が非常に高いですから。

もちろんそれだけではなく、線路の内側に設置する「脱線防止ガード」や台車に取り付けられている「逸脱防止ストッパ」や「L型ガイド」によって、極力脱線を防止する、脱線した場合でも線路からあまり離れた位置にまで飛んでいかないようにすることで、離合列車との衝突や側壁への接触を避けるといった工夫もされています。

新聞等によっては脱線を防げなかったと酷評を掲載しているようですが、そもそも鉄道車両はレールの上に乗っかっているだけのものですから、車両を上から押さえつけでもしない限り脱線を完全に防ぐことは無理でしょう。

だから脱線しても二次被害が起きないように設備を日々グレードアップしているわけで、いくら新聞記事でJR東を叩いたところでどうにもならないのですけどね。

だって飛行機が墜落したときに、なぜ〇〇航空は絶対に墜落しない飛行機を飛ばさないのだ!って叩いているのと同じだもん。

 

話を戻して

早期地震警報システムがあれば大丈夫とは残念ながら言えず、初期微動を感知してどの程度の揺れになるのかを計算するわけですが、最も新しいシステムで最短1秒かかります。

また列車は非常ブレーキ(緊急ブレーキ)を入れてもすぐには止まることができず、特に新幹線のような超高速で走行する列車の場合はなおさらです。

よく緊急時はすぐに止めることが出来るようなブレーキをとか、なぜ地震が起きたらすぐに新幹線を止めないんだ!なんてことを言う人もいますが、シートベルトもない車両で現行以上の強いブレーキを入れた場合には、乗客はそのブレーキによって吹っ飛んでしまい危険な状態に陥ります。

だから地震が来ても脱線しないように、脱線した場合でも車両が転覆しないように、そして離合の車両とぶつからないように設備を整えているわけです。

ちなみにレールと車輪がともに鉄なので摩擦が少ないから経済的に走行できるわけで、ゴムタイヤとアスファルトでは摩擦が大きく惰行運転も不可能ですから常にモーターを回しての走行となり経済的ではありません。

ただ摩擦が少ないからブレーキをかけてもなかなか止まれないわけで、なかなか良いところ取りは難しいです。

 

それと直下型の地震では早期地震警報システムは役に立たない可能性が高い。

よく緊急地震速報が地震が来たあとの鳴動したと文句を言う人がいますが、直下型ではP波(初期微動)とS波(主要動)がほぼ同時に到達するので、P波で計算している間にS波(主要動)が到達しますからね。

 

JRの在来線をはじめ各私鉄ではP波(初期微動)ではなくS波(主要動)の地震計によって警報を発するシステムとなっています。

地震計は沿線に設置されていて、地震を感知して運転指令などにデータが送られて、列車無線によって自動的に警報が発せられるという仕組みです。

自動でブレーキはかかりません。

列車無線から緊急地震速報とほぼ同じ文言の音声を運転士が聞き、そして運転士が反応して非常ブレーキを入れるという仕組みです。

私が勤務していた会社でこの装置が導入されたとき私はまだ運転士をしていたので、何度か訓練でこの音声を聞いたことはありますが、正直なところ微妙な感じですね。

実際に揺れ始めてからこの音声が流れるわけですから、100Km/h以上で走行している時に震度7クラスの地震に襲われたらどうにもならないだろうなと、私は率直に思いましたから。

そう思うと200Km/h以上で走行している新幹線に乗車中に震度7クラスの地震に襲われるほうが、現状では安全なのかもしれません。

阪神大震災の時のように高架橋が落下するなどの被害が無ければの話ですけど。

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