ブレーキ弁 抜き取り位置と非常制動の位置
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ブレーキ弁 抜き取り位置と非常制動の位置

最近は電磁直通ブレーキ(HSC)の車両が都市部ではかなり減ってきています。

全電気指令式(HRD)のほうが運転する分にはやっぱり楽と言えば楽なんですよね。

何せ5ステップ分のブレーキ力を得るためには5ステップの位置へハンドルを持って行けば、確実にそのブレーキ力を得ることができます。

それに対して電磁直通ブレーキは微妙なハンドル角度の違いによって、得られるブレーキ力が違ってきます。

それに加えて同じ車種で同じ型のブレーキ弁なのに個性というかクセがすごくて、同じように70度の角度に入れているのにブレーキ弁によって制動筒圧がまったく違っていたりします。

例えば70度で300KPa(約3kgF/m²)入れるつもりだったのに、ブレーキ弁によっては320KPa入ってしまったり、280KPaしか入らなかったりもしますしね。

 

 

車種によって使用されているブレーキ弁の種類が違いますが、私が勤務していた会社では昭和40年代前半までとそれ以降で大きな違いありました。

ブレーキ弁の抜き取り位置と非常制動位置が違うのです。

90度の角度で全制動位置になり、その先の抜き取り位置と非常制動位置が逆になっているのです。

昭和40年代前半までの車両は抜き取り位置が先、昭和40年代中期以降の車両は非常制動位置が先になっていました。

 

昔は終端駅に到着した時などエンド交換するさいに、非常ブレーキ位置へハンドルを持って行かずに抜き取り位置でスッとハンドルを抜き、反対側の乗務員室へ入ったときには抜き取り位置からサッとハンドルを差すことで、制動管への充気を待つ必要がなくなり、すぐにブレーキを緩解させて運転することができるので便利だったと。

ただし全緩め位置から抜き取り位置へ一気に持って行った際には、ほとんどブレーキが利いていない状態でハンドルを抜くことになります。

さすがに危ないですよね。

大昔に関西の某私鉄で入換作業中にほぼノーブレーキ状態でハンドルを抜き取り、乗務員室から客室へ入ったところ車両が勾配を転がりだして駅に突っ込んでしまい、車止めを突破して激突した騒ぎもあったそうです。

 

私も2名での入換運転のときには2本のハンドルを使って、非常制動まで入れずに抜き取り位置を利用していましたけど・・・

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昔は電気直通ブレーキで非常制動を入れた際に、緩解しない事態を避けるために抜き取り位置を手前に設置していたのがホントのところだったようですけど。

 

 

ブレーキ弁自体を交換するのはお金もかかり大変だったと思うので、ブレーキ弁の頭の部分を改良して非常ブレーキを入れないとハンドルが抜き取れないように改良されていきました。

下記の画像は201系のものです。

画像は201系資料館「乗務員室」からお借りしました。

 

左が改良前で右が改良後です。

ハンドルを抜き取ることができる場所が変わっているのがお分かりいただけると思います。

私が勤務していた会社でも同様にハンドルを抜き取れる位置を変えるために改良が行われました。

 

201系資料館「乗務員室」での話からすると201系ではATS-P導入の際に変更されたようですが、私が勤務していた会社では改良は相当昔だったと聞いています。

ATSとブレーキ弁の非常ブレーキ位置は私が勤務していた会社では関係がないようですし、とにかく非常ブレーキを入れないとハンドルを抜くことができない形状に変えただけだったようです。

でも2名での入換運転のときにはハンドルを抜かずに済むように2本用いて、抜き取り位置に置いたままで作業していましたけどね。

 

 

ついでの話

 

中学生の頃からの親友にナブテスコで働く人がいます。

ナブテスコは鉄道用ブレーキで50%のシェア、鉄道車両用のドア開閉装置で70%のシェアを誇る会社です。

昔は日本エヤーブレーキという社名でした。

私の友人は鉄道には興味がなく船舶関係の部署で設計をしているのですが・・・

もう30年近く昔のことですが、その彼の家に行くとブレーキハンドルがありました。

社内の検査用に使用していたもので、要らないから持って帰れと言われて家に飾っているそうです。

 

ブレーキハンドルの柄ってちょっとずつ太さなどが違うような気がするのだけどと、彼に聞いてみた私。

彼は鉄道部門の社員にその理由をたずねてくれました。

ブレーキハンドルの木製の柄はすべて職人さんの手作りだそうです。

木を削ってニスを塗って仕上げるそうです。

今でもそんな職人さんがいるのかは知りませんが・・・いないかもしれないですね。

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