JR湖西線の志賀駅で、駅員が階段でベビーカーを降ろしていた際に、ベルトを締めていなかったことから乳児が落下し骨折した事案が報道されました。
私が考えていることとよく似た発想だなぁと思ったのが以下のブログ記事です。
JR志賀駅 駅員がベビーカーを階段で降ろす際に乳児が転落して骨折
私が駅勤務をしていた昭和50年代って、まだまだエレベーターの設置は進んでいませんでしたが特に大きな問題にはなりませんでした。
というのも、今ほど車いすの方が活発に出歩くことができる環境が整っておらず、車いすを介助する方がいなければとてもではないですが外出はかなり難しかったのです。
鉄道会社や当時の運輸省にしてみれば、あまり車いすの方は外出しないから駅にエレベーターの設置を求めるほどではないだろう、そんな空気感が漂っていた気がします。
そして昔は駅員がベビーカーを持つようなことはなかったと思います。
私は駅勤務は2年ほどでしたが、一度も階段の上り下りの際にベビーカーを持つように頼まれたことはありませんし、自主的に運ぼうとしたこともありません。
妻も上の子を脇に抱える感じで持って、荷物はベビーカーに付けたフックに全てかけ、下の子をベビーカーに乗せて担いで階段を上り下りしていましたよ。
今は時代が変わって、いわゆる交通弱者といわれる車いすやベビーカーは、駅構内では鉄道従事員が手助けをするのが当然の風潮になっています。
昔があまりにも冷たかったのだろうと思いますし、今思うに何もしてこなかった自分の駅員時代の勤務ぶりって、本当に申し訳なかったなぁって思います。
エレベーターが設置される駅は多くなっていますが、でも電車への乗り降りの際には今でも手助けが必要なほど段差が大きい場合もありますから、そういった部分の改良を進めてもらいたいですし、できる限りの手助けも必要だろうと思います。
今回の志賀駅での一件ですけど、私は駅員も女性旅客も責められないと思うのですよ。
JR西日本のマニュアルによると、駅員が運ぶ場合はベビーカーは畳んでから階段を上り下りしなきゃいけないらしく、ベビーカーに乗っている子供は旅客が抱っこしなきゃいけない。
でも今回の件では女性旅客はもう一人の子供がいて、その子供を抱っこして階段を降りていた。
そうなるとベビーカーに子供を乗せたまま階段を降りるしかないわけです。
私の妻のように子供2人とベビーカーや荷物を持って階段を上り下りしろ!なんて今は言える時代じゃないですし、そもそも危ないですからね。
今後は取り扱いを徹底したい
なんてJR西日本側は公表して謝罪していますけど、残念ながらマニュアル通りにはできっこない状況って現場では多々起こります。
私が勤務していた会社では、大卒の本社勤務のごく一部の人は入社後現場での見習につきます
ただし駅での見習1か月でその後すぐに車掌の見習。
1週間ほど一人で車掌勤務をしてその後すぐに運転士見習。
運転士本務後早い人は1か月ほどで現場を離れて本社勤務となりますが、ここまでで入社後1年ですからね。
こんな人たちが
「現場の事を知っている」
として様々なマニュアルを作成したり、現場への指導監督を強めたりするわけです。
ホントに机上の空論ですよ。
JR神戸線(東海道線)元町駅での人身事故で、乗車中の旅客が負傷した件は次回以降に書こうと思っております。
この件も思うところがありますので。