2021年6月28日午後7時半ごろ、京王線府中―分倍河原駅間で車両故障が発生した。
非常ブレーキがかかりっぱなしの状態になったようで、車内の旅客は線路に降ろされて最寄り駅まで歩いて避難したそうです。
電磁直通ブレーキなど制動管のある車両でその管から空気が漏れた場合はブレーキがかかります。
制動管の通常の圧力が700~800kPaだとすると、500kPaを下回った場合には非常ブレーキが動作します。
電気指令式の場合は引き通しの指令線と呼ばれる電線が途中で断線するなど、電気が全編成間で伝わらない場合には非常ブレーキが働きます。
そのほかATSの異常で非常ブレーキが働きっぱなしになって緩解しない、ってあたりがメジャーな故障の理由でしょうか。
ちなみに私はブレーキの故障で運転不能になったのは、車掌・運転士をしていた30年以上の間一度もありませんでした。
夕方のラッシュの時間帯にブレーキ故障で運転不能となり、焦りながら運転指令とやりとりしながら運転士としてできる故障の措置をして、それでもどうしようもできなくてどんどん時間が経過していくなんて、ホントに泣きそうな気持になるでしょうね。
旅客を線路へ降ろすなどの措置を取るころには、最寄りの駅をはじめ列車区の助役や本社の人間などが大挙現場へ押しかけているでしょう。
私がいた会社では、こういう時に備えて乗務区の助役の何人かは車で出社しています。
何せ列車が立ち往生しているその現場へ向かう手段として、足の確保は重要ですからね。
本社の人たちはタクシーで現場へ行ったんじゃないかな。
ブレーキ不緩解時の処置など故障時の処置や避難誘導については、定期的に訓練が行われます。
制動管からエアが漏れて非常ブレーキが入りっぱなしになれば、漏気箇所を見つけて制動管を締め切ってが基本だけど、どの管から漏気かなんてまず分からないから直通管や元空気管と共に3管すべてを締め切る。
締め切る場所を境として生かしておく車両と遊車にする車両に分けて、ブレーキカットやら各機器を停止していったりして、自車推進の用意をする。
電気指令式の時は指令線を切り替えることで非常ブレーキが抜ければラッキー。
ダメならばやはり遊車の措置などが必要に。
ATSの不具合で非常ブレーキが抜けない場合は、ATSを開放(オフ)にしてみるとか。
そのくらいしか手はないでしょうね。
言ってみれば安全な側に働くように車両は作られています。
故障時は安全な側であるブレーキが動作するように作られている。
車両故障はいつ襲い掛かってくるか分からないし、適切に、そして運転士が習っている範囲の措置は絶対にしなきゃいけないわけで、そういう意味で運転士へのプレッシャーではあるんですよ。
ブレーキの故障なんて運転士にとっては厄介以外の何物でもないし、マジで故障は勘弁してほしいです。