手歯止めの撤去忘れで脱線→150m走行後にレールに戻る
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手歯止めの撤去忘れで脱線→150m走行後にレールに戻る

運転士

私もそこそこ長い期間鉄道の現業職に就いていましたが、脱線した状態で進行した車両が150m走行後に自然にレールに戻ったなんて話は今回初めて聞きました。

車庫で一時脱線 「手歯止め」破壊…運転士は気付かず特急として運行 JR西日本

いくつかの記事を読んでみましたが、どのようなことがあって手歯止めの撤去を忘れたのか、どうやって脱線した車輪が勝手にレールに戻ったのかは分かりません。

  • 最後部の車両に設置されていた手歯止めの撤去を忘れたこと。
  • 運転士が手歯止めを設置していたことを知らなかったこと。
  • 運転士は脱線したことに気付いていなかったこと。
  • 3両編成から7両編成に変更する臨時の作業があったこと。

などが記事から分かったことです。

 

手歯止めの施行箇所というのは内規などで決まっており、通常車庫の場合は本線側に転動しないようにするため、本線に最も近い側の車両の運転席直近の車輪に施行します。(「海側」「山側」のどちらに施行するのかも指定)

そして勾配などを考慮してのいずれで施行するかも内規などで決められています。
※「抱き合わせ」「片締め」は私が勤務していた会社だけの呼称かもしれません。。。

手歯止の「抱き合わせ」による施行。
上のように一つの車輪のみに行う場合が多いが、会社によっては下のように二つの車輪に施行する場合も。

駅での留置で両側にホームがあるなど、地形の問題で上記のような「抱き合わせ」での手歯止施行が難しい場合には「片締め」によって手歯止を施行します。

正面方向から手歯止を両車輪に施行することを「片締め」と言います。

車両積載の手歯止では施行が難しいので、駅などに備えられた柄の付いた手歯止を使います。

 

本題に戻りますが、通常は車庫から出庫する方向の運転台下に手歯止を施行するのですが、JRのように上下両方向への出庫が可能な場合は、ひょっとすると最後尾への設置もあり得ます。

ただ運転士が最後尾の車輪への手歯止施行を知らなかったとなると、誰かが誤って施行した可能性があります。

それとも手歯止施行を知らせる表示が無かったのかな。

特に今回は臨時の組成変更があったようですから、そのあたりとの関係があるのかもしれません。

ちなみに最後尾で脱線したとしても、運転士が気付くことは難しかったのかもしれないです。

転がり方がいつもより悪いなと感じる程度かな。

150mほどの走行で自然とレールに戻ったようですから、一つの台車の一つの車輪(車軸)だけが脱輪したために、戻りやすかったのかもしれないですね。

 

私が勤務していた会社の手歯止は木製で、手歯止の撤去を忘れて車両を動かした場合には車輪で踏みつぶしてしまうこことがほとんどです。

※それでも脱線の可能性はあります

元々手歯止はブレーキのエアが抜けきるなどした時の転動防止のためのものですから、木製でもその用途としては十分です。

転がり出すときはゆっくりですから、木製の手歯止でも十分受け止めることができます。

 

私は手歯止を割ったことはありませんが経験者に聞くと、一瞬車両が持ち上がってかなりの音ともにレール上に落とされる感覚があるそうで、すぐに手歯止の撤去を忘れたと気付くそうです。

ただこれも運転士が乗る車両の真下の手歯止の撤去忘れの場合ですから、最後部の車両の撤去忘れとは事情が全く異なります。

あと、私が所属していた乗務区では手歯止とは呼ばずに「ハンスコ(ハンドスコッチ)」と呼んでいました。

同じ会社の別の乗務区では「手歯止」とか「歯止(はどめ)」と呼んでいたようですが。

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