一段制動階段緩め

私が勤務していた会社では、ブレーキ操作の基本は一段制動階段緩めでした。

徐々にブレーキ力を高めるために2~3回に分けて加圧するのではなく、必要なブレーキ力を分けずに一度の操作で得ることを一段制動

2~3回に分けてブレーキを緩めながら停車させることを階段緩めと言っています。

なぜ階段なのか?ふつうならば”階”と”段”が入れ替わって段階緩めのはずですよね?

 

昔の鋳鉄製のブレーキシューは速度が低下するにつれて制動力が大きくなる特性があります。

ブレーキを緩めずにそのまま維持していると、どんどんブレーキがきつくなってしまうのです。

だからと言ってブレーキ力を一定にするために、ブレーキを細かく緩めていくのも現実には難があります。

ずーっとシュシュシュと言う音をさせて緩めるのもねぇ。

ブレーキを細かく緩めてブレーキ力が常に一定になるようにすれば、ブレーキ力を表したグラフでは直線になりますし(現実には絶対に無理です)、ブレーキハンドルを一切操作しなければブレーキ力が徐々に大きくなって、グラフで表すと以下のような右肩上がりになります。

ただ実際には2~3回程度緩めることで、ブレーキ力が急激に強くならないように操作します。

するとグラフではこのようになります。

階段状に緩めていることが分かると思いますが、ここから階段緩めと言う言葉ができたと大昔の運転士見習の学科教習で説明を受けました。

※汚い図ですいません。。。

 

階段緩めと言うのは本当は、鋳鉄シューを使用している場合そのままでは制動力が大きくなりすぎるので、階段状に緩めることでそれを防止するための制動方法です。

現在一般的に使用されているレジンシューや合成シューは、基本的に速度に関係なく制動力は一定です。

※厳密に言えば10㎞/h程度の低速になると制動力は大きくなります。

なので本来の意味である階段緩めは不要とも言えるのです。

それに今は電気制動がほぼ停止寸前まで動作するので、階段緩めなんて意味がありません。

まぁ停止位置を調整するために一度緩めれば十分なはずです。

 

一段制動についても少しばかり。

これは昔の自動ブレーキ時代の名残りで、ブレーキを緩めた後にブレーキ力が足りないからと追加しようにも、自動ブレーキでは困難な場合がありました。

そのために最初に必要なブレーキ力を一度目のブレーキ操作で得て、あとは階段緩めによって調整していく一段制動階段緩めを標準的な制動方法としたのです。

 

一気にブレーキ力を得る一段制動は乗り心地の面では劣るとも言われ、運転士によっては軽くブレーキを当てて電制を立ち上がらせてから、本来必要なブレーキ力まで加圧する2段制動を用いる人も多くなっています。

私は朝ラッシュの時間帯は二段制動を用いることもありましたが、基本的には一段制動で止めていました。

階段緩めは電磁直通ブレーキや電気指令式ブレーキの車両で、電気制動が失効して空気ブレーキのみになるさいのショック防止のために用いていました。

やはりセオリー通り2~3回の階段緩めを用いていました。

でも少しだけ純電気ブレーキの車両も運転しましたが、この車両の時は一段制動一段緩めがほとんどだったかな。

 

 

一段制動は正確な制動距離が取れているのかを自身で確かめるのには最適です。

2~3度の階段緩めでピタッと止められると言うのは、速度(惰力)を正確に掴めている証拠でもあります。

今は応答性が良くなったためか、ブレーキを緩めたり加圧(追加制動)したりを繰り返す運転士が多くなりました。

※ブレーキを緩めたり追加したりを繰り返すことを舟をこぐなんて言っていました。

そのような運転をしても乗り心地が悪くなりにくいですしね。

でも停止寸前にブレーキを加圧して、ドーン!って止めてしまう運転士も少なからず存在していますよね。

 

現在の電車の性能からいえば一段制動階段緩めは古びた操法かもしれません。

でも車両の性能と乗車具合と勾配と曲線と天候などを考慮したうえで、一度で正確な制動距離を導き出し、一段制動で止めにかかる。

そしてブレーキを追加することなく、多くても緩めるのは3回までで停止目標にピタッと停車させる。

これは運転士の基本中の基本の制動の方法だと今でも思っています。

でもできない運転士が多くなっているんですよ…

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