5月16日、JR西日本の奈良線、宇治ー黄檗間を走行していた列車が支障物を発見したために緊急停車した。
非常ブレーキを入れたものの接触したそうですが、線路脇に設置されていた今は使用していない標識が傾いたために接触したと言います。
なぜに使われていない標識を撤去せずに放置していたのかはわかりませんが、その標識を設置する必要があった部署の言ってみれば怠慢ですね。
しかし、必要がなくなった標識を撤去せずに軌道内に設置したままというのは・・・結構あるんですよ。
標識によっては支柱を立てて、標識自体は交換できるタイプのものがあります。
私が勤務していた会社では、運転に直接関係がある標識で、運転関係の部署が管理しているものは交換ができるタイプ。
電気や土木など他の部署が設置している標識は支柱と一体になっているタイプが多かった。
私が経験した中では、運転関係の部署が管理している標識の撤去忘れが多かったような気がします。
標識自体は取り外すのですが、支柱をそのままにしているケースが多かったな。
支柱は鉄製が多く、長年放置されていると錆びて朽ち果てていき、やがて折れ曲がって列車と接触したりするんですよ。
油にまみれた錆びた鉄の棒ですから、パッと見た感じではその存在にも気付きにくい。
接触して音にびっくりして非常制動を入れる、って感じになってしまいます。
まだ使われている標識と接触した経験が私は2回ほどあります。
一度は作業標識をあまりにも線路の際に設置しすぎて、私が担当していた列車と接触したというものです。
作業標識を設置した作業員は、できるだけ線路の近くに設置することで、運転士からの視認性が良くなるのではと思ったらしいのですが、さすがに線路に近づけすぎたわけですね。
もう一度は勾配標に接触しました。
曲線部分でバラストに突き刺すように設置されていた勾配標なのですが、通常は列車に接触しないように外側に傾けて設置されているはずでした。
夜間作業でバラストの交換が行われたのですが、勾配標を傾けずにまっすぐに刺していました。
バラストの白さとともに、まっすぐに立っている勾配標に違和感は感じていました。
バラストの交換から2週間ほどたった日、早朝に通過した際にも少し内側に傾いているような気がしていましたが、それほど気にも留めていませんでした。
次に私がその場所を通過したのは朝のラッシュが終わった頃。
ヤレヤレって感じで少しリラックスしながら運転している時です。
距離にして30mくらいまで近付いたときに、明らかに勾配標が内側に倒れている気付いたのですが、その瞬間にガン!っていう音ともに、木製の勾配標を踏み砕く音も聞こえてきました。
当然ですが非常ブレーキを入れて停車し、接触してバラバラになった勾配標を運転台に積み込んで無線報告。
「勾配標と接触して破壊しました」
たぶん運転指令も勾配標なんてワードが出てくるとは思っていなかったのでしょうね。
「何と接触したのですか?」
と何度も聞き直されましたからね。