私が勤務していたのは関西の大手私鉄で、私が入社した1981年以前にすでに自動改札は一般的なものになっていました。
ただこの当時の自動改札はいろいろとトラブルを起こすことも多かったし、メンテナンスには自動改札機のメーカーのサービス部門の方が定期的にやってきて補修をしていました。
たしか週に一度以上は各駅の自動改札のメンテを行っていたんじゃないかな。
最近はメーカーの方ではなく鉄道会社の電気とか通信部門の社員がメンテを行っている気がするけど。
今とは違って私が駅勤務をしていた頃は、裏が茶色や黒の磁気化券と白い紙のきっぷ類だけで、今のようなタッチするだけのICカードなんてありませんでした。
※最近紙の定期券というと裏が黒や銀色の磁気定期券を指すようですが、私の感覚だと紙の定期券って裏が白くて駅名や日付などはスタンプで押した物を想像しちゃうけど。
なので基本的には自動改札機にきっぷ類を投入するという作業が必要でした。
自動改札の中でベルトできっぷ類を前方に運ぶ間に、磁器の情報を読み取ったり日付を印字(感熱式)したりしていました。
自動改札機の中のベルトが劣化してくると、まずは定期券の券面に黒い跡が付き始めます。
劣化したベルトを触るとベタベタしていました。
するとやがては定期券がベルトにくっついた状態になり、自動改札機内で定期券がグチャグチャになって(ジャムる)出てこなくなるというトラブルに発展していました。
こうなるとその定期券は自動改札に通すことができなくなるので(通しても磁気を読み込めないのでエラーになる)お客さんに定期券売り場へ行ってもらって、定期券の再発行をしてもらわなければいけなかったんです。
お客さんにすれば迷惑な話ですよね。
自動改札機のベルトの状態を確かめるために、定期券大のテスト券(どこの駅でも通過できる・・・)を使ってチェックし、まだ大丈夫そうならば締め切りにはせずにメーカーのサービスさんを呼んで補修、テスト券も詰まるようならば自動改札機を締め切る。
私が駅の時には締め切り用のチェーンとかロープなんて無かったから、紙に「締め切り」なんて書いてその自動改札機に張り出して、電源を切って改札の“扉”を手で動かして閉めていました。
磁気の読み取りエラーが頻発することもありました。
定期券やきっぷを見ても区間や料金、日付にも間違いがないのに扉が閉まって警報音が鳴り響く。
磁気の読み取りのヘッド部分が汚れて正確に読み取ることができず、エラーとして表示されるのです。
内部のヘッドの掃除をすればよいのですが、これもメーカーのサービス担当者に来てもらっていました。
ちなみにその間は、該当する自動改札機は日付や料金などをチェックしないように切ってしまって、どんな区間や日付の定期券やきっぷを入れられても通れるようにしていました。
駅の構造が悪い場合、雨風が強いと自動改札の切符の投入口から雨水が中に入り、ずーっと警報音が鳴り続けるなんてこともありました。
とにかく自動改札機は雨に弱かった。
自動改札機の操作盤にも“その他エラー”ってのが点灯して、どうにもならない状態になるんです。
酷かったのはすべての自動改札が“その他エラー”になってしまったことかな。
切符や回数券は手で回収し、定期券は目で見て確認するという昔ながらの駅員スタイルで対処するしかなかったですからね。
今の定期券(磁気・ICとも)は自動改札機を使って出場することで出場情報が書き込まれる、っていう仕様のようですが、昔はそんな賢い仕様ではなかったので出る時に自動改札を通らなくても、次に乗車する時には普通に自動改札を通れていましたから。
後は自動改札機へ異物を入れられる故障も多かった。
仕方がないと思うのが、裏が白いきっぷを入れられることかな。
連絡乗車券の多くが磁気化されていない裏が白いきっぷだったし、国鉄なんて硬券の連絡乗車券を発行していました。
そして改札口にはズラーっと自動改札機が並んでいて、裏が白いきっぷで出場するためには駅員がいるブースにやってきて手渡ししなきゃいけないのですから、面倒だったと思いますよ。
裏が白いきっぷを入れても壊れることは少なかったけど、硬券を入れるとたまに磁気読み取りのヘッドが壊れて大変なことになることもありました。
あとは乗越精算が自動改札機でできると思うのか、きっぷの投入口に硬貨を入れられたり。
なぜかしらたこ焼きを入れられたこともあったし。
たこ焼きの時は酷かったなぁ。
自動改札機の内部がソースと青のりだらけになるし、たこ焼きの中身も飛び散って手に負えない状態になりましたから。