「地下鉄車両、女児が機器触って車内消灯 運転士が施錠せずに乗務員室離れる 神戸・西神中央」という記事をネットニュースで見ました。
終点に到着して運転士と車掌がエンド交換(乗務場所の交代)の際に乗務員室の施錠を怠ったことが原因らしく、無施錠だった乗務員室に女児が侵入し、スイッチ類を触ったことで起きたようです。
読売新聞の記事では、車掌によって乗務員室から出された女児は、別の停車中の列車の乗務員室にも侵入したということで、乗務員室の扉の施錠は日常的に行われていなかったことが浮き彫りになっています。
乗務員室の施錠ですが、私がいた会社では私が在職中には行っていませんでした。
神戸市交では内規?で施錠が義務付けられているように報道されていますが、私がいた会社ではそのような決まりは無かったので、誰も施錠することはありませんでした。
編成中に乗務員室がある場合(2編成を併結で使用)には施錠されていましたが、こちらは車両部の方で施錠していたようで乗務員は触ることがなかったです。
ただこれも私が車掌になる少し前までは施錠されておらず、編成の中間にある乗務員室から乗り降りする旅客に注意すること、といった記述が車掌見習の教科書にありました。
乗務員室に施錠がされていなければ、だれでも自由に出入りができてしまいます。
私が乗務員時代に目撃しただけでも2~3回は乗務員室へ侵入されていますが、たまたま機器やスイッチ類を触られなかったために、今回の神戸市交のような実害は出ずに済みましたが、危険なことは事実です。
ブレーキやノッチ(アクセル)などは扉や機器類の施錠用のカギとは別なものが使われており、乗務員室に侵入されても操作されることはありません。
ただし車内灯や方向幕などのスイッチ類は触られてしまいます。
後はエアコンの操作スイッチとか、気笛やワイパーも動作されますね。
スイッチと言えばコンプレッサーやSIVのスイッチのほかパンタグラフだって下げることができるし、やっぱり怖いですよね。
それと車掌スイッチも怖いですね。
私がいた会社の車両の車掌スイッチには半自動などの切り替え機能がなく、かなりシンプルな物でした。
カギがかけられるようになっているのですが、施錠した場合には「開」にすることができませんが、「開」から「閉」にすることはできます。
停車中でドアが開いている時に車掌スイッチを施錠状態にすると、閉めることはできますが、再び開けるには解錠してからとなります。
このような危険性があるので、私をはじめ一部の乗務員は乗務場所交代時のほか、乗務員室から離れる際には施錠が必要ではないのかという声はずっと出していました。
でも私が事務職に異動するまでの間、乗務員室を施錠するという方針は打ち出されなかったです。
昔は本線の列車の中にも折り返し時間がダイヤ上でも3分30秒と極端に短いものも多く、いちいち施錠や解錠をしている時間がないことや、侵入されても特に実害が出ていなかったことが大きかったようです。
さすがに今は施錠していると思うし、まだ施錠していないにしても、今回の神戸市交の件で施錠する方向に向かうと思うのですが。
内規で決められていても、現場で徹底されていなければ無意味なものになるし。
意外と危機意識を持っていないのでしょうね、神戸市交も私がいた会社も・・・