熱中症対策がほぼ皆無だった運転士時代

水を飲んだらバテる?

今では熱中症対策に水分を摂ることは常識となっています。

でも私が学生の頃は、運動中に水分を取ることはご法度でした。

「水を飲んだらバテるから何があっても飲むな!」

今では考えられないのですが、炎天下で運動をしていても昔はこれが常識としてまかり通っていました。

車掌の時は乗務員室にいると暑いという理由から、車内巡回という名の散歩によく出かけました。

乗務員室と違って客室はホントに涼しくて天国のようでしたから。

ただし、私が車掌だった時代にはまだ非冷房車が存在していて、窓を開ける以外に涼の取り方がなかったのですが、今ほど暑くはなかったのでまだ耐えることができました。

乗務員室は灼熱地獄

私が運転士になった頃には、私が担当する路線では全列車の冷房化を達成していました。

でも乗務員室の冷房って、客室の冷気のおこぼれを少し分けていただいている状態でして、近年の外気温の高さに対しては負けているといった感じでした。

そもそも乗務員室なんて、左右も前もガラス張りですから直射日光が降り注ぐ形になっています。

背中の部分だってガラスですから、背中に直接日光が当たることがありますし。

客室とは違って乗務員室内の気温って40度を超えることも珍しくはありませんでした。

こういう状態のところで働いているとき、一口でいいから水分を取ることができれば本当に幸せだっただろうなって思います。

一口の水も飲まずに

私が勤務していた会社では、乗務員が乗務中に水分を摂取することを想定していませんでした。

なので運転士の頃に乗務中の水筒所持は可能かをたずねたことがあります。

お客さんの面前では飲まず、優等列車の退避中に隠れて飲むとか、終端駅で駅事務室に行って飲むということを前提で聞いたのですが、答えはダメでした。

水筒の中身がアルコールではないことをどうやって証明するのか、乗務員が水筒を持っていることに対して旅客が不審がる可能性が高い、といったことを突き付けられたためです。

水分を一口取れば熱中症対策になり、安全に運転できるではないか!

これに対する答えが

それならばホーム上の手洗い施設の水を飲め!

乗務員が手洗い設備で水を飲んでいるほうがおかしな光景だと思いますが。

私が会社を退職した時点では改善されておらず、今でも水筒を所持しての乗務は認められていないかもしれません。

結局乗務員は2時間以上直射日光に当たり続けながら、一口の水も飲まずに電車を運転していたのです。