鉄道における夜間作業
夜行列車や貨物列車が走るJRの路線の場合は、夜間の間合いとして2時間くらいは時間を確保していると聞いたことがありますが、私が在籍していたのは関西の私鉄で最終から始発の間が間合いの時間です。
私がいた会社ではおおむね4時間くらいは確保しており、この間合いの時間を使って作業が行われます。
JRで2時間の間合いでは作業が困難な場合には、走行線路を変更したりもしていますね。
JR神戸・京都線だと外側線で夜間作業を行う場合には、内側線を貨物列車が走行するということもありますし。
夜間作業は線路の突き固めやレールの交換、レール削正や架線の張り替え、信号機の電球交換(今はLEDが主流だからあまり行われないのかな)など作業は多岐に渡ります。
日中は列車が走行していることから夜間の列車間合いにしか作業ができない、そんな作業が多くありますのでどうしても夜間作業になってしまいます。
ただし日中にある程度の準備をしておいて、夜間作業では集中的に作業を行うといったことも行われています。
夜間にレールを交換するとすれば、あらかじめ交換するレールをそばに置いておき、レール締結装置を枕木の横に順に置いておくなどの準備の様子を見ることもできます。
作業の遅れによる列車への影響
鉄道事業者としては避けたい事象ですが、ちょっとした手違いや作業中に起こるミスなどによって、営業列車に影響が出ることもあります。
私が勤務していた会社でも夜間作業が押して、助役や運転指令がやきもきすることが年に1~2回はありました。
早朝に出勤申告を行うものの、助役たちはあちこちに電話して落ち着かない。
「夜間作業が押していて、本来は作業が終わって作業車も基地に戻っている時間なのですが、まだ○○駅と○○駅の間で作業をしているんです」
「もうやめて引き上げられないのかと問い合わせているのですが、今引き上げたら今日は列車の運行ができないと言われるし……」
作業していたら運転できないじゃないかと思っていたら、私が担当する列車には影響はない。
作業は上り線側で行われており、私は下り列車で当該場所を通過するから大丈夫ですと言われるのですが、接近していって下り線路内に作業員がいる可能性は極めて高いのだけど……
幸い工事個所に接近する前に作業は終了し、始発列車を数駅進めたところで作業車両と離合しました。
夏だったのでやや明るくなった4時50分ごろに、回転灯を回しながら走ってくる黄色い作業車両と離合したわけです。
ちなみその作業車両を追い掛けるように上り始発列車とも離合しましたが、やはり作業の遅れによって数分遅れていたようでした。
夜間作業開始前にミスすることも
夜間作業で作業車を使用する時は、最終列車のすぐ続行で工事現場へ向かっていきます。
例えばこちらが下り列車の最終を担当していると、上り最終列車と離合してすぐに作業車両と離合することもあります。
最終電車の後だから、それに乗せてもらって最寄り駅まで送ってくれないかなぁなんて、よくみんな言ってましたよ。
Aという駅から下り方面へ作業車を出すときに、作業車の基地からあまりにも早く出してしまったために、Aという駅へ向かう最終列車が駅に入れないということも数回経験しました。
いつもと信号展開が違うしおかしいなと思っていたら、ホームに最も近い位置の場内信号機がR(赤)現示。
「場内信号機がRのため入場できません、何かありましたか?」
と運転指令に問うても、こういう時って黙りこくるんですよ。
場内信号機に最接近してホームを見ると作業車が停車中。
作業車の出庫順序を間違ってしまったわけですね。
こちらはお酒が入ったお客さんをたくさん乗せているわけだし、せめて何か答えろよと思って再度無線を飛ばしたところでやはり何も答えない。
こんなことも何度か経験しました。
短い時間内に作業を終えなきゃいけないから、作業する側はちょっとでも早く作業にかかりたい。
だから作業車の基地から何度も何度も信号をつけろとか、何時何分になったら出られるんだなんて無線も飛ばすし。
それに釣られるのか、到着する列車のことを忘れて作業車を出しちゃうようなのですよ。
こんな状態でよく事故らないなと、逆に感心したりもしていました。