年末が近づくと増える第三者行為災害
地下鉄駅ホームで駅員のほお“平手打ち”…25歳住所・職業不詳の男が現行犯逮捕「寝込んでいたところ起こされ激高し暴行」“呼気から基準値4倍のアルコール”終電到着し駅閉める直前に―北海道札幌市
年末に近付くにつれて、駅員や乗務員が旅客等による第三者行為災害に巻き込まれる事案が増えてきます。
この件は札幌市営地下鉄南北線の終点の麻生駅で終電が到着した後に起きたもので、駅員としては駅構内から退出するように起こすのは当然の仕事ですから、起こされことに激高して暴行に及んだって、さすがに許されることではないです。
寝込んでいることを確認したのに、翌朝まで放置すれば今度は駅員がマスコミの餌食になるわけですし。
でも実際、鉄道に限らず多くの人と接する仕事をしていると理不尽に手を出されることもあるし、自分の思い通りにならないからといって罵られたり、罵倒されたり、今だとスマホで録画されることも少なくないですからね。
降りない泥酔者を投げ飛ばし…
乗務員をしていると、車内で寝ている旅客を起こす場面にはよく出くわします。
終点に着いても寝込んでいる人はもちろんだし、ほぼすべてのシートが埋まっている状態でシートに横になって寝ている人も起こさざるを得ないです。力づくで座らせることもしばしばありました。
終点に着いても起きずに寝込んでいる人を順に起こしていき、
「終点ですよ」と声をかけると
「今乗ったところや!」
って怒鳴られたこともありますけどね。
早朝、終点に着いても微動だにしないほど泥酔している人が目の前にいて、大声で叫ぼうが体を揺すろうがまったく起きず、仕方がなく引きずって電車から降ろしホームのベンチに座らせたことがありますが、
「車掌が客を投げ飛ばしていたと苦情が入っているぞ」
「僕のこの華奢な体で人を投げ飛ばせると思いますか?」
と言って逃れたことが(もう40年以上昔のことなので…)
ほとんどの酔っぱらいは起こすと文句を言うし、放置していたらなぜ起こさないとまた怒るし、本当に扱いというか処理に困ってました。
殴られた経験が3度も…
駅員、車掌、運転士とそれぞれ一度ずつ殴られたことがある私。
駅員のときは無札で改札を出て行こうとしたガキが逆上して殴ってきて、応戦したので警察沙汰にはしていません。でもこの駅周辺はそんなガキから大人までがいっぱいいて全然良い印象がないけど、世間的には治安が良くて上品な街で通っているところが笑えるというか、怖いというか…
車掌時代に殴られた話は拙著「電車屋さんだったころの話 Ⅱ」に記しましたので、運転士時代の経験から。
22時過ぎに終点に到着し、折り返し回送列車だったので降りてもらうわけですが、運転台の直後の席で寝ている初老の男性。
「終点ですよ」
と声をかけても動かないので、軽く肩をポンポンと叩いてもう一度「終点です」と声かけ。
ほかにもチラホラと寝ている人がいたので順に起こして戻ってきたら、運転台後ろの初老男性がまだ座っている。
面倒くさいやつだなと思いながら「終点ですよ!」と強めに声をかけると、
「お前、俺を殴っただろ!」
と言いながら私の腹に拳を入れてきた。
正直なところ全然痛くはなかったのですが、殴ってきた事実がありますからそのまま電車から引きずり出し、駅長室に連行して警察行き。
私は回送列車を運転し入庫した後に事情聴取のために警察へ行く羽目になりましたが、こういうやつは許すのが一番ダメですから少々の時間がかかるのは仕方がない。
制服を着た人間ならば手を出しても大ごとにならないだろうし、起こすときに叩かれたと言えば大丈夫だと思っていたそうだと聞きました。
泥酔者は放置しても問題ないというルールか、最初から乗車拒否できるルールを作ってくれないかなってずっと思いながら、年末に向けて乗務していましたよ。