回生ブレーキが効かず恐怖と気持ち悪い感覚を味わう
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回生ブレーキが効かず恐怖と気持ち悪い感覚を味わう

運転士

回生ブレーキ

今は回生ブレーキを装備した車両が当たり前になっています。

以前の車両も制動時にモーターを使っていましたが(電制)、抵抗器へ流して熱として大気中に放出していたのに対して、今は架線に電気を返して他車にその電気を使わせるわけですから、そりゃあ回生車両を導入しますよ。

今は回生された電気を他の車両が使いきれない状態で、回生ブレーキが失効することを防ぐためにいろいろと策を講じていますが(駅の照明などを直流化して使用するなど)昔はそういった策もなく回生車両を入れていたために、運転士が恐怖を覚える事態も多々発生していまして…

 

 

始発や最終の回生ブレーキは怖い

運転士になって3~4年経った頃(平成3~4年?)でしょうか、最終電車を担当していたときです。

車両はVVVF(GTO)制御の車両でブレーキは回生ブレーキという電車でした。

線区の途中駅までの最終電車で、到着後はそのまま留置となる仕業でした。

当然ながら運転本数が少なくなり離合する電車もほとんどない状態ですから、回生ブレーキの失効には用心しながら運転していたのですが、ターミナル駅を出発し1駅目から回生ブレーキの効きが悪く、さらに空気ブレーキも弱々しくて、通常の制動距離からブレーキをかけると全制動まで入れないと止まってくれない状態でした。

何駅目かは忘れましたがまったくVVVFの音がせず、さらに空気ブレーキもスカスカで、非常ブレーキを入れて何とか停目に止まるということもありました。

こうなるとかなりビビってしまって、とにかく安全に止まれるようにと慎重な運転を心がけましたよ。

一応構造上は所定のブレーキ力(回生)がない場合には、同じブレーキ力の空気ブレーキが利くことになっているのですが、実際にはブレーキが抜けたように滑っていく感覚を味わうことの方が多かった。

悪戦苦闘しながらも何とか終点の駅の場内信号機が見えてきました。

心持ち普段より距離を取って場内信号機の現示に合わせに行きましたが、GTOのVVVFの独特の音を響かせて普通に回生ブレーキが効いてくれました。

「良かった、最後になって普通にブレーキが効いてくれた」

そういう思いから、最後の停目へは普段通りの制動距離でブレーキをかけました。

もうねぇ、かけた瞬間に分かりましたよ。

「ブレーキ全然効いてない・・・」

非常ブレーキを投入して停目を5mほど過ぎて停車。

車掌もすぐにドアを開けましたし、お客さんを降ろしてすぐに留置作業に取り掛かります。

パンタグラフを降ろし、蓄電池のスイッチを切り、信号所へ持っていくレバーなどを抜きます。

最後にホーム下に降りてハンスコ(手歯止)を施行して終了ですが、ホームに備え付けてあるはずハンスコが見当たりません。

5mほど行き過ぎて停車したので、ハンスコの設置場所はちょうど台車の真横になるのです。

今の時代ならば絶対に

「もう一度パンタグラフを上げて停止位置を修正しろ」

って命令されるのですが、この時は

「もういいよ、明日始発ですぐ使うから」

 

始発でも同様に全然ブレーキが利かないなんてことが、特にGTOのVVVF車で多発していました。

 

集中して回生車両ばかりを入れたために

ここからは私の経験ではなく、運転士をしていた兄や友人から聞いた話です。

阪神大震災では神戸を走行する鉄道各社は甚大な被害を受けました。

この中で阪急は御影~王子公園の分断運転区間(後に御影~三宮《現 神戸三宮》間に延長)には8000系のみを投入。

これは検修庫のある西宮北口に戻れないため、基本的にメンテナンスフリーと言われていた同車を入れて対応させようとしたためのようです。

※実際には留置している車両のチェックを車両課員が行っています。

この8000系はGTOのVVVF車で回生車。

王子公園~御影間の時にもやや不安定な回生の状態でしたが、運転区間が三宮に延びると恐怖に変わったとか。

日中は春日野道で離合するダイヤだったらしく、上下の列車が同時に入駅するのでブレーキを入れた瞬間に電圧計は1800Vオーバーが常態化。

それでもってこの8000系も、回生ブレーキが所定の制動力を発揮していない時に入るはずの空気ブレーキがまともに入らず、全制動でも止められないので非常ブレーキを入れて止めることが多かったとか。

非常ブレーキは空気ブレーキのみですから、普通にブレーキが利きますから。

ただ多くの運転士がこの状態を理解していたから片方の列車はやや早く、もう片方の列車はやや遅めに到着するようにして、回生失効が極力起きないように運転していたとか。

 

ブレーキのステップ数に応じて、このくらいのブレーキ力だということを運転士は体で覚えているから、制動力に合うように体を無意識に前へ倒すのですが、実際にはブレーキが利いていないので体は後ろに残ろうとします。

するとまるで加速しているように錯覚したり、お尻が浮くというか何とも言えない気持ち悪い感覚を味わったりします。

でも回生失効より、雨等でマジでブレーキが利いていいない時のほうがはるかに怖いですけどね。

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