人身事故・運転士と車掌-1
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人身事故・運転士と車掌-1

今までにも何度か人身事故のことを書いてはいますが、それほど詳しい内容は書いていなかったように思います。

今回は人身事故に遭遇した運転士と車掌について書いていきます。

ただし私は車掌・運転士を通算で約30年ほどしましたが、幸運なことに私が担当する列車では人身事故はありませんでした。

自転車をはじめいろいろな物とはぶつかってきましたけどね。

しかし私が担当する1本前が人身事故を起こしたとか、離合の電車が目の前で人身事故を起こしたのを見たなど、全く関わっていないわけではありません。

ちなみに人身事故の処置に関しては各社で相当な違いがあります。

あくまで私が勤務していた某鉄道会社の某乗務区での話です。

踏切内に侵入した人を発見したとか、ホームの際に立ちつくす人を発見した場合、運転士は急気笛を吹鳴します。

本当はただ長く吹鳴し続けるのではなく、パンパンパン・・・って感じに短い気笛を何度も吹鳴するのですが運転士は

「接触するかも!」

ってテンパっちゃって、足がこわばり気笛のペダルを踏み続けてしまうことが多いです。

線路内にいれば発見次第気笛の吹鳴と非常ブレーキの操作を同時に行いますが、ホーム上にいる場合にはなかなか非常ブレーキを入れるのは難しい。

中にはいたずらでホームの端っこでふざけるバカもいますからね。

それと非常ブレーキを入れたからといって電車はすぐには止まりません。

60Km/hからの非常ブレーキでも約140mが必要ですので、発見してすぐに非常ブレーキを入れたところで事故を回避するのも難しいですし。

よく発見して非常ブレーキを入れたが間に合わなかったってコメントが人身事故の際に発表されますが、間に合わないのがふつうです。

間に合うような強力な非常ブレーキが開発されたとして、その強力な非常ブレーキを実際に入れたら、車内のお客さんが多数負傷する事態になるんじゃないかな。

 

ふつう電車と人が接触する場合、車両の下部のほうに当たるケースが多いです。

この場合は電車のスカートが役に立ちます。

スカートがないと人を巻き込んでしまって、バラバラになっちゃうんです。

でもスカートのせいで遠くに飛ばされちゃうこともあるのですけど。

ホームから飛び込まれた場合には、たまにフロントガラス直撃ってことがあるんですよね。

人身事故に巻き込まれて運転士がケガを負うこともあります。

運転台前面のガラスに直撃されてガラスが割れて人が飛び込んでくるし、デスク型の運転台がずれちゃって乗務員室の側開き戸が開けられなくなるし、飛び込んできた人の身体のパーツが飛び散って頭からかぶり、かけていた眼鏡も破損した。

そんな先輩もいましたからね。

 

非常ブレーキで緊急停車させてから、まずは運転指令に事故の第一報を送信します。

その後に車掌にインターホンなどで事故の発生を通告し、車掌は車内への放送を行った後に事故現場へ向かいます。

JRなどでは運転士は指令との連絡などのために車両から降りないようですが、私が勤務していた会社では運転士も降りて接触した人の処置を行います。

基本的に接触した人は生存しているとみなしての処置ですが、見るからにダメだろうとわかる場合には、犬走などへその人を移動させます。

今は車両にブルーシートなどが積まれておりそれで人を隠すわけですが、昔はそんなものは積まれていなかったので新聞紙で隠したりしていました。

なので乗務員室には新聞紙1日分くらいは積んでおくのが常識だったのですが、車掌の中には乗務員室をきれいに整理整頓しなければいけないなんて気持ちから、積まれている新聞紙などをすべて捨ててしまう人もいました。

こういう時は車内吊り(広告)を引き離して人にかけて、飛んでいかないように線路内の石(バラスト)を載せておくなどしていました。

 

運転士と車掌は電車の停止位置がそれとなく分かるように、線路内の石を置いたりします。

分かりやすくするために石をピラミッド状に積み上げるなんてことはしません。

そのあたりの事情は次回に書こうと思っております。

また現認証明といって、電車が気笛を鳴らして急ブレーキをかけていたことを証明してもらえる通行人や車内の旅客を探し、住所や名前を控えておくという作業もします。

気笛と急ブレーキ以外のことは証明しなくても良いからと頭を下げて(血の付いた手袋をはずして)、現認照明をもらっていました。

警察に出す報告書に記載することはありますが特にそれ以上の厄介なことはなく、あとで会社から商品券などがお礼として渡されるくらいですね。

私は助役の時に2回ほど、現認証明をしてくださった方のお宅にお礼のために伺ったことがあります。

 

昔は駅以外での人身事故の場合は、車掌を事故現場に残して運転士だけで運転を再開していました。

事故を起こした列車が優等列車の場合は、継続して優等列車として運転していましたし。

ただワンマン運転の認可が下りていない線区なのに、運転士だけで運転するのは問題があると指摘されたか何だかで、最寄り駅まで徐行運転し車掌の資格を持つ人間が乗り込むようになっています。

 

長くなりそうなので続きはまたの機会に・・・

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