前照灯(ヘッドライト)の常時点灯
今は多くのの鉄道で日中も含めて前照灯(ヘッドライト)を点灯して運転しています。
日本の鉄道で最初に常時前照灯点灯が明文化(規則化)されたのは東海道新幹線で、これは1964年の開業時から続いています。
以前にも書いたのですが、在来線では踏切で車や通行人との接触事故が多発していた路線で、前照灯を日中にも点灯して走行したところ事故がかなり減少した。
前照灯を点灯することで通行人や通行車両などからの視認性が向上したわけですね。
その他には線路内作業を行う係員からも列車の接近が判りやすいなど安全性が向上するとのことで、全国に徐々に広がっていったようです。
私が在籍していた会社でもいまは日中の前照灯の点灯を行っていますが、私が運転士から助役になってからのこと。
日中でも隧道内とか天気が悪くて薄暗いといった時にはもちろん前照灯を点灯していましたが、晴天時に前照灯を点灯して走行したことはありません。
隧道から出てきて前照灯を消し忘れていて、離合の運転士にパッシングされることもしばしば。
私はパッシングされる側ではなく、する側でしたけどね。
前照灯はハイビームが定位?
ちなみに自動車やオートバイが夜間に走行する場合はヘッドライトはハイビームが基本で、他車とすれ違う時にはロービームにして視界を確保することになっていて、ロービームをすれ違い用前照灯と呼ぶそうです。
※道路交通法52条1項、2項
鉄道でも基本的には前照灯はハイビームにして走行しますが、他車との離合の際にはハイビームにされていると視界が確保できないためにロービームにするのが一般的。
ただし鉄道では前照灯はあくまで標識灯(前部標識)であるため、ハイビームとロービームの切り替えについては規則などでは言及されていません。
なのでハイビームのまま離合しても規則上特に問題はありませんし、ロービームのまま走行を続けても問題ありません。
私は日中の前照灯点灯は経験していませんが、夜間走行中によくロービームへの切り替えを忘れるんです。
ハイビームのまま走行していると離合の運転士からパッシングされたり、離合の瞬間に警笛を鳴らされたり。
そういう時はダイヤを見て列車番号を確認して、行路表でどの仕業番号かを確認。
乗務区に戻ってきてから該当する仕業番号を乗務している運転士を調べて直接会えそうならば謝り、休憩時間などが合わない場合は出勤管理を行っている助役に“街道海月”が謝っていると言付けていました。
どのように指導されているのか…
元同僚と話をする機会に、日中の前照灯点灯のことについて聞いたことがあります。
あくまで私が在籍していた会社の話ですが、日中は前照灯をハイビームのままとし、離合列車があってもロービームに落とすなと言う指導を受けているようです。
なんでも終日前照灯点灯を導入した当時の乗務区長が、
「昼間なんてハイビームで離合しても眩しくないし問題ないだろう」
との見解からハイビームで固定扱いが定着したとか。
ただ運転士同士の配慮で離合の時にはロービームにすることがほとんどで、その様子を確認した助役たちも特に指導はしてこないと言っていました。
問題は緩急接続である程度の時間停車する場合も前照灯の消灯はダメ
始発駅でも乗務場所を交替して運転台に座れば、発車時間までかなりあってもハイビームで点灯
こんな感じで指導されているようです(守っている運転士は少ないそうですが)
個人的には日中の踏切や駅への進入や通過時はハイビームのほうが良いと思います。
元々が注意喚起から始まった日中の前照灯点灯ですから、ホームや踏切にいる人に対してハイビームによって列車の接近を伝えるのは重要だと思います。
ただ駅に停車しているときは点灯しなくても良いんじゃないのかなとは思いますけどね。
こちらが停車中に離合列車が入駅してきたら、本当は昔からダメだけど前照灯を消灯するということが行われていましたし、場内待ちで止まっているときも消灯していましたしね。
撮り鉄がいるからハイビーム?
Xを眺めていると、ホームの端っこでカメラを構えていたらハイビームにされた、そして運転士に対して罵詈雑言を並び立てる人を散見します。学生とか社会人でも若い人たちなのかな。
警笛を鳴らされたなんて書き込みもよくありますし。
もちろんカメラを構えているであろうことは運転士から分かります。
で、先に書いたように、元々が注意喚起から始まった日中の前照灯点灯ですから、ホームや踏切にいる人に対してハイビームによって列車の接近を伝えるのは重要ですし、特にホームの先端部分に立つ人に対しては警告の意味を込めてハイビームにするのはむしろ当たり前だと思います。
また警笛に関しても、足元は黄色の点字ブロック内だとしても、カメラを構える上体が出ていれば当然鳴らしますし、鳴らさない運転士が仕事をさぼっていると言えると思いますけどね。
撮り鉄対策とか、撮り鉄がいるからではなく、
危難な場所だと運転士が判断する場所にいるから注意喚起のためにハイビームにするし、それでもなお上体が出ているなどすれば警笛を鳴らします。
シャッターを切ればすぐにホームの内側に逃げるなんて言われても、ボーっと立っている人なんていくらでもいますから、注意喚起のためにハイビームに切り替えられたり警笛を鳴らされるのは当然ですよ。
撮り鉄でなくとも、ホームの端っこに立っていたら運転士は警戒しますし、ハイビームへの切替えと警笛の吹鳴は当然のことですから。