車掌の仕事
本来の車掌の仕事って知っていますか?
運転士に対して出発の合図を送る、車内の秩序を守る、列車防護に赴く、この3つが主任務なのです。
運転士への出発合図はブザーやベルを送るほか、ドアが閉まったことを知らせるランプの点灯を出発合図とすることもあります。
車内の秩序とは誰もが安全快適に乗車できる状態を守ることで、車掌の車内巡回がこれに当てはまります。
列車防護とは列車が脱線するなどした際に、他の列車を止めて2重3重の事故を防ぐための行為です。
「鉄道係員職制」という規定の第十一条に「車掌は、車掌区長の命を受け、列車の運転取扱い、旅客及び荷物の輸送並びに車内の秩序保持の業務に従事する。」と定められています。
無人駅がある場合には、車掌の発券業務も主任務になりますけども。
単なるサービス?
ドアを全て閉めることで運転台のランプが点灯しますから、ドアの開閉は車掌の任務の範疇です。列車の運転取り扱いの範疇だといえますからね。
ところが車内への放送に関しては規定がなく、単なるサービスなのかもしれません。しいていえば、緊急時に旅客を避難誘導する際の車内放送は秩序を守ることにもなりますし、運転取り扱いの一部かもしれません。
駅名を放送したり乗り換えについての放送などは単なる旅客サービスの範疇でしょう。
ところがここ数年は駅名を間違って放送しちゃうと、ほぼ間違いなく苦情が寄せられるようになりました。
昔なんてとんでもない地名を放送したって、笑われて済んでいたのですけどね。
ここはどこ?
しかし車掌として乗務していると、急に頭の中が真っ白になって何も放送できなくなることがあるのですよ。
必死で周囲の風景を見て、いま列車がどこを走行しているのかを確認しようとするのですけど、考えれば考えるほど走行位置も分からなくなってしまうのです。
たいていの時はフッと思い出すのですが、どうあがいてもまったく駅名が出てこないことがたまにあるんです。
そういう時は、もう放送はあきらめていました。
間違って全然違う駅を放送するよりマシかなと思って。
乗換駅も難敵でしたよ。
駅名はすらすらっと出てくるのです。でも乗換えの放送を間違えてしまうのです。
A線を乗務しているのに、頭の中はB線を乗務している感じになってしまって、A線への乗り換え案内をしちゃうのです。
特にB線の乗務機会がかなり多いときに起こるのですよ。
間違ったと分かって
「失礼しました」
なんて放送すると、そこから急にお客さんの耳が放送の方へ集中します。
間違ったときはただ言い直すだけのほうが、苦情に関してはあまりきていなかった気がします。