車掌用スタフ(担当列車時刻表)が無かった時代からできたころまで
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車掌用スタフ(担当列車時刻表)が無かった時代からできたころまで

私が在籍していた乗務区では、1970年代までは車掌用のスタフ(担当列車の時刻表)は存在していなかったそうです。

ただし全乗務員には行路表というものが配布されていて、例えば平日の仕業1番は出勤時刻が3時58分で、乗務区のある駅を4時43分始発となる列車の出庫作業から行う。

行先は○○で列車種別は各駅停車、○○駅には5時28分到着で折り返し5時35分発の各駅停車で△△行きになる。

みたいなことが図で書かれていて、乗務すべき列車が一目でわかるようになっています。

なお私がいた会社では運転士も車掌も同じ仕業を乗務しますので、丸一日(泊りの仕業ならば翌日も)ペアで乗務します。

 

スタフがなかった昔の車掌は、自分のダイヤグラムや行路表に細かいことを書き込んでいきました。

例えば仕業1番で最初に担当する列車は出庫して3番線に入る。

途中の□□駅では2番線に入り、終点の○○駅では4番線に入るといったことを自分で記入していきます。

担当するたびに自分の行路表に記入していくわけですから、それこそダイヤ改正直後なんて何も分からずに車掌は乗務していたわけです。

入場番線についてはダイヤを見ても書かれていませんからね。

また優等列車待避の際にはどの種別の列車なのかも書いていったそうです。

こちらはダイヤを見れば分かるのですが、乗務中にダイヤを見ながら車掌業務をするのは大変ですから、行路表に書き込んで乗務していました。

 

1980年代には車掌スタフがあったのですが、当時の車掌用スタフはかなり簡略化されたもので、すべての駅名は書かれていませんでした。

書かれている駅は場内・出発信号機がある駅(停車場)のみ。

一定時間停車すると時間に関係なく信号現示される出発信号機のような駅は書かれていませんでした

そして乗務交代を行う駅と終点では到着時刻も書かれていましたが、それ以外の駅では出発時刻のみが書かれていました。

場内・出発信号機のある駅から次の場内・出発信号機のある駅までは時刻は一切分かりません。

ダイヤを見ても同様で場内・出発信号機が設けられている駅の時刻は5秒単位で分かるのですが、それ以外の駅(停留場)はダイヤを見ても正確な時刻は分かりません。

そんな状態で車掌は乗務していたので、停留場でお客さんの乗降が終わってドアを閉めて出発合図を運転士に送っても、それが定時なのか早発なのか遅れているのかも分かりません。

それこそかなり飛ばして常に全制動で入駅していくような運転士と乗組んでいると、1分や2分は簡単に早発してしまいます。

車掌として乗務していても、これたぶん早いよな……と思うしかできません。

 

私が運転士になって以降も車掌のスタフはなかなか改善されず、車掌は一部の駅を除いて出発時刻が分からない状態が続きました。

会社からは車掌に対して、20秒停車が基本だから20秒はドアを開けておいてほしいと、お願いをするにとどまっていました。

車掌の中には早く休憩したい早く帰りたいと考える人もいて、それこそ異常に早くドアを閉めて出発合図を送ってくる車掌もいました。

運転士は全駅の到着・出発時刻がスタフでわかるので、定時に到着するよう運転はします。

ところが車掌が早くドアを閉めてしまうので、早発になることが多々ありました。

マジで困るのが、例えば9時20分40秒着で9時21分00秒発のケース。

運転士は何とか定時に着けるのですが、車掌が15秒くらいでドアを閉めて出発合図を送ってくるのですが、5秒間も停車し続けているとお客さんが「乗せろ!」と言って電車に近づきますから、それも危険なので運転士としてはできない。

仕方がなく5秒早発させるとクレームが来るわけです。

××駅で電車が1分も早く出ていったと。

長くなりそうなので今回はここまで、続きます……

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