電磁直通ブレーキの車両が終点に到着すると、パシャーン!という大きな音がします。
ホームにいるときに不意にあの大きな音がすると、けっこうビックリしますよね。
あれは非常ブレーキを入れた際に発する音です。
電磁直通ブレーキとはまた別のブレーキ装置となる自動ブレーキを非常ブレーキ用として備えており、制動管内の圧縮空気を一気にすべて抜くことで非常ブレーキが動作します。
あのパシャーン!って音は空気を吐出弁から一気に抜いたときに発する音なのです。
空気を一気に抜いたときに発する音なのですが、非常ブレーキの操作をしたブレーキハンドルをいったん非常ブレーキの位置から緩めの方向へと操作します。
そして再び非常ブレーキの操作をすると、制動管にはほとんど空気が充填されていないのでかわいらしくパシュって音がするだけだったりします。
100㎞/h以上で走行中に非常ブレーキを入れます。
特に危険な状態ではないとすぐに分かったので全緩めの位置にハンドルを持って行きます。
しかし制動管に一定の圧力が充気されないと非常ブレーキは緩解しません。
車両形式によっては制動管への充気が間に合わずにドスーンと止まってしまいますし、比較的充気が早い車両の場合5~10km/h程度で非常ブレーキが抜けてくれたりもします。
もう時効なので・・・
面倒な入換の場合に何度もエンド交換(運転位置の変更)をしなければならないことがあったのですが、昔はよく車掌勤務を運転士がすることがありました。
ならばハンドルを2本を持って行けばエンド交換の必要がなくなりますよね。
ここまでは一般的によく行われていたのですが、基本的には非常ブレーキを入れるのですね。
片方で非常ブレーキを入れて、もう片方ではブレーキハンドルを緩め位置にして充気されるのを待つ。
この待つのもイヤなので、両運転台のハンドルを抜き取り位置に置いておきます。
入換信号機や入換標識に従って運転し、所定の位置に止めます。
ここで通常は非常ブレーキを入れるのですが、抜き取り位置でハンドルを止めます。
そしてベルやブザーなどで反対側の運転士へ合図を送ります。
反対側のハンドルも抜き取り位置に置いたままなので、ブレーキを全緩めの位置にすればすぐに緩解します。
ホントは社内の規定に反してるのですが、ベテラン組はみんな抜き取り位置を活用していましたよ。
たぶん私の後輩たちは、こんな方法で2名の運転士による入換運転をしていただなんて知らないでしょうね。