以前このブログで列車の爆破予告があったけど乗客を避難させることもなく、列車のドアを開けることもなく、警察へ通報することもなく、助役などの係員によって車内を捜索が行われた話を書きましたが、これはまだ昭和の時代で私が車掌だったころの話です。
ところが平成20年代になっても似たようなことをしたのです、私が勤務していた鉄道会社は。今回はその時のことを書いていきます。
本社へ爆破予告
乗務区の休憩所で多くの乗務員がひそひそ話をしていました。
何かなぁと思い聞いてみると、どうやら本社に爆破予告の電話があったようだとのこと。
どこかの駅に爆弾が仕掛けられたようだけど、その駅が一体どこの駅なのかは漏れ伝わってはきませんでした。
ふつうはその駅内にいる旅客をはじめ係員を全員構外の安全な場所へ退避させ、さらに列車の運行を取りやめるのが当たり前ですが、どこの駅なのかも正式には伝えてこない。
そもそも爆破予告が本社へあったことすら、駅員や乗務員に伝えられていない状態。
大昔と違ってバカな対応はしないだろうと思っていましたから、誰かがガセネタを流しただけだろうと思っていました。
でも乗務区の助役たちも、そのうわさ話を否定も肯定もしない。
気持ち悪い感じでした。
乗務交替のためにホームへ向かうと
交替するために乗務区からホームに向かいました。
するとスーツ姿の人がコンコースやホームのゴミ箱を開けてみたり、ホームのベンチの下を覗いたりしています。
そのスーツ姿の集団の中に、私と入社や車掌が同期で本社へ異動した人を発見しました。
まさかと思ってその人を捕まえて聞いてみました。
「まさかと思うけど、この駅が爆破予告のターゲットになってるの?」
その同期生は
「そんなもの言えるわけがないだろ!」
この答えで分かりますよね、爆破予告のターゲットになっている駅にいま私がいる。
「本当にに爆発したらどうするつもりなんだ!」
「大きな声でしゃべるな!お客さんに聞かれたらパニックになるだろ!お前は早く交替位置へ行け!」
今回も旅客を避難させるとか、列車の運行を一時停止すると言った考えはこの会社には無かったようです。
※この同期生は私の拙著「ガタンゴトンな毎日」に出てくる「古井」だったりします。
スーツ姿の本社の人たちがゴミ箱やベンチの下、植え込みをかき分けたり、トイレの個室を何度も何度も捜し歩く。
本当に異様な姿にしか見えないし、その恰好からして何か事件でも起こったのではと思うお客さんがいたって不思議ではないですよ。
安全意識があまりにも低すぎる
このときもイタズラだったようで爆発物が見つかることもなく、本当に爆発することもありませんでした。
本社の人間も、どうせイタズラに決まっているけどしかたがないから駅構内の捜索はしておこうか、程度の考えだったのでしょうね。
でももしも本当に爆発物が仕掛けられていて駅構内で爆発したら、相当な被害が出ることは一目瞭然です。
ふつうは警察へ連絡しますよね?
旅客は避難させますよね?
列車の運行は一時中止にしますよね?
本当に安全意識が低すぎる会社だったんです、私が勤務していた関西のとある私鉄は。
以前の列車への爆破予告の際は労働組合も動いたのですが、今回書いた爆破予告の件では一切動きませんでした。
会社どころか組合までもが、組合員の安全を守るという当たり前の行動を放棄したのです。
こんなだから、組合の職場委員から職場の班長の経験者ばかりが、乗務区長や駅長になるわけですが…。