レールもATSも…… とにかく車庫は本当に怖かった
広告が表示されます

レールもATSも…… とにかく車庫は本当に怖かった

運転士

曲線になっていないしレールは薄っぺらだし

私がいた会社だけかもしれませんが、とにかく車庫のレールはすり減っていてぺったんこで、遊間(レールとレールの隙間)は相当広く取られているし、曲線も本線路とはまったく違っていて、直線に近いレールを並べてかくかくした感じの曲線になっていた。

曲線ではないですね、直線と直線を繋いだ遊間の部分がかなりの角度が付いていて、多角形のような形状でしたから。

多角形の角の部分を通過すると「ドンドン」とかなり大きな音と振動が伝わってきます。

車体重量が重かった昔の電車の場合は特に揺れがひどくその音も強烈。

あの音を基準にしたら、本線路上でいつもとは違う音(異音)を聞いたところで、大したことがないと思ってしまうほど。

とにかく本当に怖かった。

そしてレールが本当に薄っぺらで、いかにも本線で使い倒してもう使用は無理!という状態のレールを車庫に持ってきて使っているだろうって感じ。

レールの車輪が接する部分は通常レールのやや内側当たりなのですが、全体がピカピカに光っています。

そして車両から降りてレールを見ると、多数の欠けや穴を見つけることができる、そんな状態のレールでした。

 

 

車庫内でネズミ捕り

一般的に車庫内の制限速度は25キロとか45キロという社局がふつうだと思います。

ところが私が所属していた乗務区が出入庫を担当する車庫は制限速度が15キロ、そして検修庫内は10キロの制限がかけられていました。

理由はこれまで書いてきたとおり、レールの状態が極めて悪いから。

ただし私が運転士になって10年ほど経過するまでは遅くても20キロでは走っていました。

運転士の見習中も師匠や教習所の職員から、20キロを下回るような速度で運転しないでほしいと言われていましたから。

ただし飛ばす人は最悪なレール上を30キロほどは出していて、傍から見ていても車両の揺れ方や音が怖くて、レールから車輪が簡単に外れそう、そんな感覚を持っていました。

会社側も月に一度くらいは車庫内の運転速度をチェックしていたのですが、速度をきちんと計測するでもなく、ただ目視で他の運転士より速いかどうかを比べるだけ。

それでも速度オーバーがなくならなかったのですが、

「ちょっと速度が速くなかったですか?」

「雨で速度計の誤差が出たか、空転しただけだ」

なんていう詭弁に対して監督職側が何も言えなかったのが原因かも……

2000年ごろからはストップウォッチを使って、決められた区間を何秒で通過するのかで速度を計測するネズミ捕りが頻繁に行われるようになり、車庫内をあまりにも速い速度で運転する運転士はほぼいなくなりました。

 

 

車庫内のATS

車庫構内の入換時のATSですが、社局によってかなりまちまちでしょうね。

きちんと整備されている社局もあれば、基本的にはATSで守られていない社局もある。

本線路のATSはきちんと整備されていてパターンATSを導入していても、車庫内は手を付けていない社局もあるでしょう。

私が出入庫を担当していた車庫は基本的にATSで守られてはいませんでした。

今は改良されていると思いますが、あくまで私が運転士をしていた時の話なので……

入換信号機がR(赤)の場合でも冒進する可能性が極めて高い、そんな状態でした。

基本的には車庫内で車両を動かすにはATSを確認扱いにしなければならず、すると赤信号でも進めてしまいますから。

※ATSの電源を入れないとATS制動が解除できないシステムだったので、ATSを切ったままでは動かせなかった。

何が怖いって、車庫内の各線路の終端部分には車止めが設置されているのですが、車止めに近づいたところで防護されるものはなく、ノーブレーキで車止めに突っ込むこともできてしまう。

また車庫は昭和40年代に拡張が相次いで行われたらしく、入換標識で入っていって同一の車庫留置線に複数の編成を重ねて留置する箇所が多かった。

すでに車両が止まっている留置線へ入換標識で入っていき、その止まっている車両のすぐ後ろに接近していって止めるのですが、前の車両とあまり離して止めることはできませんでした。

前の車両も車止めギリギリに止めて、その後ろに入る車両も前の車両から1m以上離して止めることもできない。

何せ有効長がギリギリな留置線があり、あまりにも離すと後から入った車両の最後部が入換標識内に収まらない、そんな場所が何ヶ所もありました。

それでもってATSで守られてはおらず、先にも書いたように車止めにノーブレーキで突っ込むこともできるし、前に止まる車両にノーブレーキで追突する危険性もあった。

実際に私が乗務員をしている間に何度かの車止め突破や、他の車両への追突事故が起きていましたから。

そんな状態なのに15キロの規制を掛けられている車庫内を、30キロとかで移動させる運転士がいたのですから、そりゃ事故も起きますよ。

ちなみに私は運転士を辞めるまで20キロ以下は厳守していました。

本当に怖かったので。

Ads Blocker Image Powered by Code Help Pro

広告ブロッカーが検出されました

ブラウザのアドオンやブラウザに内蔵されているアドブロック機能により広告ブロックが行われていることを検出しました。 弊ブログは広告収入により運営されており収入が減少するとブログの運営継続が非常に困難になります。 この表示は広告ブロック機能の無効化やホワイトリストへの追加を行った上で更新を行うことで消すことができます。 または広告ブロック機能のないブラウザで閲覧ください。 ご協力のほどよろしくお願いいたします。
タイトルとURLをコピーしました