不思議なルール 雷が光ったらノッチをオフ

鉄道の会社は各会社ごとにさまざまな規程を設けています。

お客さんに直接関係する旅客営業規則や運転に関する運転取扱実施基準・運転取扱心得など、メインとなる規程があります。

メインの規程類は法律や省令に沿って作らていて、各会社の基本的な考え方が表れているといっても過言ではないでしょうね。

それらのメインの規程を補完する形で細則や細かい規定類があります。

メインの規程だけでは各会社の実情に合わない部分を細則などで補っているわけですね。

運転取扱実施基準・運転取扱心得などを補完する規程類は数が多く、たとえば風雨に関する規程や列車火災また地震発生時の取り扱いに関する規程といったもののほか、ATSに関する規程や作業車に関する規程などホントに細かく定められています。

ここまでは各会社ごとですが、共通の決まりとなっています。

規程にはその他にも路線ごとだったり乗務区ごとの規程や決まりも存在します。

メインの規程や補足する規程よりもより細かく、各路線や乗務区の考え方が色濃く反映されているわけです。

私が所属していた乗務区にもいろいろなローカルルールがあり、特に明文化されていないルールには変わったものがありました。

あまり事細かく書くといろいろ大変なのであれですが・・・

運転士をしていてホントに不思議だなと思っていたルールに、落雷時の取り扱いがありました。

それは

雷が落ちたらすぐにノッチ(力行)をオフにすること

というものです。

雷って電流が1000A~20万A(それ以上も)電圧は200万V~10億Vといわれていますから、例えば電車に直撃しなくても、架線や架線柱を伝ってパンタグラフからモーターや制御器に達することも当然考えられなくはないです。

モーターや制御器なんて真っ黒焦げになるのでは?ってことですね。

でもノッチを入れていなければ回路が絶たれているから、モーターや制御器に雷による大電流は達しないという考えらしいのです。

だから

ピカっと光ったらすぐにノッチを切れ!

っていうローカルルールが誕生したようなのですが・・・

雷の電気が地上に伝わるのって一瞬ですよね。

ピカっと光る雷光は電気と同じ速さで秒速約30万Km/h、1秒で地球を7週半する速さだというのは聞いたことがありますよね。

そして実際に雷が落ちるのは稲妻によるものですが、ギザギザな稲妻を連想しますがこちらは秒速200Km/hほどで先駆放電と呼ばれるものですがこれではなく、そのあとに秒速約10万Km/hの速さで落ちる主雷撃のほうです。

とにかく人間が対処できる速さではありません。

ピカっと光ったときには雷は落ちているだろうし、光ったことを確認してからノッチをオフしたところで回路遮断なんて間に合うはずがない。

超人みたいな運転士が雷が落ちる前にノッチをオフできて回路を遮断できたとしても、雷は関係なく流れていくんじゃないのかなぁ。

そんな疑問を抱きながら、このローカルルールはずっと無視していた私でした。