マスクを着用して乗務する運転士や車掌

寒さが本格的になってくる12月ごろから春の花粉症シーズンが終わるころまで、マスクを着用して乗務する運転士や車掌をよく見かけますよね。
私が運転士になった昭和の終わりごろから平成の初めごろなんて、マスクをして乗務する人なんて皆無でした。
30年ほど昔の話ですが、この当時は今のような不織布で作られた使い捨てマスクなんて製品はなかったですからね。
ごく稀にマスクをして乗務している人もいましたが、あの当時は洗って何度でも使えるガーゼマスクが主流でした。

 

 

マスクを着用する乗務員が増えだしたのは、実は乗務環境が良くなってからなんです。
昔の乗務員室内のヒーターって導線に電気を流して発熱させるタイプで、導線の周りは鉄のカバーで覆われていました。
このヒーターで乗務員室内を暖めることなんて不可能で、触れない程度に手や足をヒーターに近づけて暖を取っていました。
※触るとやけどしちゃうのです。
昭和の時代にすでに乗務員室用の温風ヒーターの設置も始まっていましたが、あくまで新造車両に設置されているもので従来の車両にまではなかなか広まりませんでした。
たしかに従来のヒーターとは違い温風ヒーターは乗務員室内全体を少しは暖かくできるのですが、評判が良かったのは登場当初だけで徐々に否定的な意見が職場で出始めていました。
温風ヒーターは空気が乾燥するからのどや目がつらい。
そして、風を起こすことからホコリなどが乗務員室内を舞ってその空気を吸ってしまうんですよ。
新車として走り始めた当初はホコリが舞うなんてことはないのですが、数年経つと乗務員室の隅っこなどにホコリや髪の毛などが積もっていくのです。
また温風ヒーターの設置場所ってだいたい隅っこですからね、温風ヒーターがものすごくホコリを吹き飛ばしていくのです。

 

温風ヒーター設置車両が徐々に増えていった頃、乗務職場の労組役員から会社に対して頻繁に
「乗務員室内の清掃を徹底してくれ!」
っていう要望が出されてはいましたが、人手が足りずに手が回らなかったためか放置されていた車両が多かったです。
この頃からマスク着用の乗務員が増えていきました。
当時はマスクの着用はやめるようにと会社側から指導もありましたが、ある時急展開を見せます。
2009年に新型インフルエンザの国内での発症が確認されて、国土交通省の指示で乗務員や駅員は全員マスク着用となったのです。
この時を境にして乗務員のマスク着用が一気に増加したわけです。

当時のことを覚えている方もいらっしゃると思いますが、使い捨てマスクの需要に供給が追い付かなくなり売れ切れ続出しましたよね?
ネット上では1箱500円ほどのマスクが数千円で販売されていたり。
でも乗務区や駅事務室などには大量のマスクが運び込まれていたし、私は会社で50枚入りのマスクの箱を2~3個もらって帰りました。

当時マスクをして仕事をしちゃいけない雰囲気だったものが一気に転換して、インフルエンザの予防や花粉症対策としてマスクをして勤務することが2009年5月からはふつうになったんです。
ホコリを吸い込まなくなったという点も良かったと私は思います。
ただ乗務員の間ではマスクを着用したら冬場は暖かいとか、フリスクを舐めていても見つからないなんて意見があったのも事実です。

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