冬の運転士はすきま風との格闘も

運転士と車掌では車掌のほうがまだ寒さはマシかもしれません。
車掌は乗務員室で進行方向に向かって立っている場合、当然ですが前は客室側になります。
冬とはいえ客室が前にあれば寒い風が乗務員室へ入ってくることは少なくなります。
それにひきかえ運転士が進行方向に向かって座っていれば前はガラス1枚あるだけで外です。
外は車内より気温が低いですし、ガラス越しにその冷たさがジワーっと伝わってくるんですよ。
それ以上にきついのが、前面についている貫通扉です。
貫通扉はゴムのパッキンが仕込んではあるのですが、どうしても隙間から風が入ってきます。
比較的新しい車両はゴムパッキンもしっかりしているから問題ないのですが、古くなってくるとゴムパッキンが劣化して硬くなり、すきま風が入ってきやすくなるのです。

 

私が車掌のころですが、その当時の運転士は貫通扉の隙間によく新聞紙を詰め込んでいました。
運転士によっては貫通扉の周囲を1周するように新聞紙を詰め込む人もいました。
いつこんなに新聞紙を詰め込んだのか不思議に思ったりしたものですが、各駅停車ならばわずかな停車時間の間に少しずつ詰め込む。
優等列車の場合は走行中に運転席を離れて詰め込む人もいたようです。
今もし運転士が走行中なのに運転席を立ち貫通扉付近でごそごそしていたら、その様子を録画した映像がSNSに上げられてしまい、運転士の職を解かれて別の職場へ異動させられるでしょうね。
とにかく新聞紙を詰めなきゃ寒くて運転なんてできるか!って感じでしたからね。
当時の車両の乗務員室の暖房なんて温風が出るような代物ではなく、導線に電気を流して暖かくするだけのもので運転席の下に1台だけ取り付けてあり、乗務員室全体を暖かくするような能力は0だけど、ヒーターを囲ってある鉄製の囲いだけが異常な高温になるというものでした。
極端な言い方をすると
熱く熱したフライパンが置いてあるのと変わらない程度の暖房でしたから。

私が運転士になったころもこの手の車両は大量にあったのですが、見た目の悪さから新聞紙を詰める運転士はどんどん減っていったように思います。

 

 

最近の電車の運転台はデスク型が主流で、うまく囲われるような形状ですから運転士の手に直接風が当たることはありません。
でも昔の電車ってそんな形状はしておらず、ノッチを握る左手にどこからか風が流れてきて直接当たったりしましたからね。
貫通扉部分から入ってきた風が乗務員室の側開き戸の隙間から抜けるように出ていったりするからでしょう。
「3畳一間のボロアパートよりひどいすきま風が入るぞ!」
なんて引継ぎを交代の運転士から受けたこともあるほどです。

ホントに冬の乗務は厳しかったなぁ。。。

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