今って新造車両はほぼ回生車ばかりですよね?
ブレーキは大まかに分ければ、車輪やディスクを圧縮空気を利用してブレーキシューで挟み込む空気ブレーキと、モーターを使って減速する電気ブレーキに大別されますよね。
電気ブレーキには電気を抵抗に流して熱として消費しちゃう発電ブレーキと、電気を架線に返す回生ブレーキがあります。
電気を架線へ返せば他の電車が走行用の電気として使うので省エネルギーにつながるので、一般的に回生車を導入する動きですね。
私が運転士をしていた最後の頃でも、まだ回生車は半分を超えたくらいだったかな。
まだ比較的抵抗制御の車両が多く存在していました。
でもたまに回生車を担当しているときにブレーキを掛けると、通常1500V程度の電圧が1800V以上に跳ね上がって回生ブレーキがほとんど利かず、運転士の感覚から言うとノーブレーキ状態に陥ることがありました。
一つの変電所が受け持つ区間内(セクションからセクションまで)に回生車しか走行していない時が発生するのですが、そういう状態の時にブレーキを掛けると頻繁にこういう状態が発生するんです。
特にどの列車も力行していない(アクセルを踏んでいない)時にブレーキを掛けると、確実に発生していました。
日中はある駅に上下の列車が同時に停車するのですが、その両方の列車がVVVFだったりすると両方の列車でブレーキの利きが著しく低下するんです。
そりゃそうですよね。
回生車って架線へ電気を返すことで制動力を得るのに、電気を使う列車がいなけりゃ回生ブレーキって成り立たないのですから。
特にVVVF車の場合はそれが顕著で、同じ駅で上下の列車が同時にスベッた(過走・オーバーラン)ことがありましたから。
私はまずいと思って非常ブレーキを入れて間逃れたことが何度かありますからね。
こういう経験をイヤというほどしてきたのですが、今って大半が回生車ですよね。
変電所の改良とか駅施設での使用とか、根本的に回生ブレーキが利かない状態を解消したのかなとちょっと気になるんですよね。
ちなみに、回生ブレーキがまともに働かない状態を「回生負け」なんて呼んでいました。
そういえばGTO素子を使ったVVVFは回生負けが酷いという印象があったけど、IGBT素子を使ったVVVFでも回生負けは起こっていたけどGTOよりは少しはマシだった気がするなぁ。
今新造する車両はIGBT素子を使ったVVVFばかりだと思うから、ひょっとしたら車両任せで施設には何の改良も施さずって状態なのかな。