先日新幹線で腹痛のために運転士が運転席を離れ、動力車操縦者免許を持たない車掌を助士席に座らせて運行していたことが発覚したばかりですが、今度はJR九州での事案です。
運転士見習の操縦の指導を行っていた指導運転士(教導とか師匠)が吐き気をもよおしたためにトイレへ行った。
その間は免許をまだ取得していない運転士見習が特急みどり25号の運転を担当していた。
これは5月19日に起こった事象のようで、運転士見習が6月に入ってから報告したことで発覚したそうです。
新幹線の運転士がトイレへ行っていた問題は5月16日のことで、JR東海が発表したのは20日。
JR九州の運転士見習は、JR東海での1件を目の当たりにして隠し通すことではないと思ったのでしょうか。
このJR九州での1件は吐き気をもよおすという体調不良が原因ですから、トイレへ行くという判断ではなく、運転指令へ体調不良のために運転継続不可能と連絡すべきものでしたね。
また運転士見習は無免許なわけですから、多少は操縦方法知っていたとしても単独運転をさせるべきではなかったし、引き受けるべきものでもありませんでした。
これが模範解答なわけですが、運転士をしていると遅らせるわけにはいかないという心理が根強くあるので、我慢してでも運転を継続しなきゃいけないと思っちゃうのでしょうね。
今回は見習がいたからつい頼っちゃったと思いますが、さすがに許されることではないですよね。
気持ちは分かるけど。
私も何人かの運転士見習を育ててきましたが、私だったら怖くて見習に運転を任せるだなんてできないですけど。
横で寝たふりをしていたとしても前方はしっかり見ていたし。
操縦試験が終わってあとは免許の交付を待つだけの時になっても、私は怖さを感じましたけどね。
新幹線の件の時にも書きましたが、結局は会社がいくら体調不良時にトイレへ行っても報告さえしておれば咎めはないと言っていたとしても、乗務員側はどこか信じられないところがあるんですよ。
それは普段の会社側の態度から感じるもので、本当にお腹が痛くて列車を遅らせてトイレへ行ったら、咎められはしないにしても黙って他の部署へ飛ばされるんじゃないか・・・みたいな考えをしてしまうのでしょう。
それが今回は吐き気をもよおしたわけですから、マズイと思って正常な思考に至らなかったんじゃないかな。
こういった点が実は福知山線脱線事故の原因と同じなのかなと思ったり。
会社にすれば、乗務中に腹痛であっても乗務を離れて列車を遅延させるような運転士はいらない、どんな理由であっても今は世間が許してくれないから、そんな思考が強く働いているようにも感じますし。