重たいブレーキ弁と軽いブレーキ弁
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重たいブレーキ弁と軽いブレーキ弁

運転士

都市部の電車ではその数が相当少なくなったブレーキ弁を備えた車両。

今はほとんどが電気指令式ブレーキで、運転操作は本当に楽になりました。

何よりも電気指令式ブレーキは応答性が大変よく、ブレーキ操作をしてから実際にブレーキが利き始めるまでの時間は1秒以内と、空走時間がかなり短くなりました。

それに比べて電磁直通ブレーキは常用ブレーキの場合、ブレーキ操作を行って実際にブレーキが利き始めるまでに3秒ほどかかります。

時速100キロで走行中の3秒って83mにもなりますから、20mの車両で4両以上もの空走距離が発生していました。

私は自動ブレーキの運転経験がないので電磁直通ブレーキだけの感想ですが、ブレーキを入れてから利き始めるまでの〝間〟が編成によって少しずつ違っていて、あまりにも空走時間が長い編成の時は思わず追加でブレーキを入れようかと思案するほどでした。

 

ブレーキ弁自体にも個性があるというか、スムーズにハンドルを動かせるものもあれば、めちゃくちゃ重たいものもあれば軽すぎると感じてしまうブレーキ弁もあります。

 

重たいブレーキ弁はやっぱり疲れます。

70度の位置までハンドルを持っていこうにも一気に持っていきにくかったり、非常ブレーキを入れるときも重たいとスムーズに投入できません。

軽いブレーキ弁の場合は、それこそ70度まで入れるつもりが入りすぎて80度くらいまで入ってしまったり、全制動まで入れるつもりが、勢い余って非常ブレーキを投入してしまったという運転士もちらほら。

また軽すぎると70度から60度まで少し緩めるつもりが50度近くまで緩まってしまい、あわてて追加制動の措置を行った経験もあります。

そういえば軽くブレーキを当てて転がすつもりが、軽すぎて全緩め位置まで入って慌てたなんてことも聞いたことがあります。

 

ある運転士があまりにも重いブレーキハンドルに嫌気がさして、ハンドルが固いから潤滑スプレーを持ってくるように無線連絡していました。

ハンドルの爪の部分が錆びて動かしにくい時にはよく潤滑スプレーを吹いていましたが。

各駅停車で5分ほどの停車中に、助役がハンドル周りに潤滑スプレーをたっぷりと噴射したところ、ブレーキ弁の内部に潤滑材がしみこんでいき、内部でショートを起こして小さな爆発音と白煙が上がって、乗車していたお客さんが不安そうに見ていたなんてこともありました。

 

電気指令式に比べるといろいろと厄介な面もありましたが、でもブレーキ弁を備えた車両を運転している方が、電車を操縦しているという気分にさせてくれるのは間違いないです。

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