先日まいどなニュースに「車掌の喋り方が独特なワケ、多すぎる車内放送… 気になる電車のアナウンスあれこれ」という記事が掲載されていて、楽しく拝見させていただきました。
> 鼻が詰まったような声とクネクネとしたイントネーションは印象的です。これは、乗客の話し声や車内の雑音の中でも目立つようにしているためとの説・・・
たしかに昔の車掌の中には、鼻にかかるというか詰まったような声と、独特な言い回しの放送をする車掌がいましたね。
それこそ記事にあるような中川家の礼二さんのモノマネそっくりな放送をする車掌が、京阪に限らずあちこちの私鉄にたくさんいました。
私が車掌になったのは1983年(昭和58年)ですが、その当時はすでに普通の会話のような口調で喋るようにと言われていましたし、それ以前もあえてあの独特な口調で喋るようにとの指導は行われてはいませんでした。
> 電車の車内アナウンスで鼻にかかったような高い声の車掌さんがいますね。これは意識して、あえて声を高くしているそうです。
この話も私は聞いたことがありません。
たしかに車内の走行音だったり、トンネル内や橋梁上を走行している場合には騒音に車内の放送がかき消されることが多いのですが、だからといって高い声を発声するなんて聞いたことがありません。
中には車掌個人の判断で高い声を出しているのかもしれませんが、会社側から言われたことはありません。
あくまで通常の話声のように、普通の会話のような口調を求められていました。
ただし、橋梁上での車内放送はできるだけ避けるようにとか、トンネル内での車内放送もできるだけ避けることが望ましいが、地下線ではそうはいっていられないですから、極力騒音がマシな場所、たとえば出発直後や停止直前で速度が遅い時だったり、ノッチやブレーキを使っていない箇所、分岐器(ポイント)を通過していない箇所などを選んで放送してほしいとは指導されていました。
ではなぜ指導も教育もされていないのに、鼻にかかるというか詰まったような声と、独特な言い回しの放送をする車掌が次々に現れるのか。
あくまで私見ですが
車掌になった当初はきちんと発声しようとするのですが、だんだんとそれが崩れていきます。
特に車掌になりたてのころは結構大きな声を出しているのですが、ずっと大きな声を出し続けるのって疲れるわけです。
そこで車内放送用のアンプの出力を最大にして、小声で話しても聞こえるようにしていく人が増加します。
アンプを最大にすると息の音も拾ってしまうので、鼻で息をせずに口先でボソボソっとしゃべるようになります。
また小声で喋るので、マイクを口にかなり近付けて喋ります。
これが鼻にかかるというか詰まったような声で放送する原因でしょうね。
結局は楽に放送しようという考えから、自然に独特な口調の車掌が増加していくという構図です。
マイクの持ち方も独特ですしね。
この画像は小田急電鉄からお借りしました
普通の人はこの画像のようにマイクを後ろから支えるように持つのですが、昔はほとんどの車掌はマイクを前から持っています。
マイクの後ろにフックがあるので、マイクを後ろから持つとなるといちいち持ち替えなくてはいけません。
それが面倒だからマイクを前から持つのですが、その際にマイクと鼻の間に指が入るようにすることで、送話口に直接口が付かないように、そして鼻の穴をふさぐ形になるから余計に鼻が詰まったような声になるのでしょう。
たぶん私も鼻が詰まったような声で、口先でボソボソと喋るような放送をしていたと思います。