車掌スイッチとはドアを開閉するためのスイッチのこと。
このスイッチが故障した時のことを書いていきます。
私が勤務していた会社の車両は、前後スイッチ(方向切換器)が「後」位置になっていないと、車掌スイッチを操作してもドアは開閉しませんでした。
ただしワンマン運用に用いる車両は、前後スイッチに関係なく車掌スイッチによってドアの開閉ができるようにもなっています。
今日お話しするのは車掌が乗務する一般的な車両での車掌スイッチの故障の話です。
運転士として乗務していて終端駅に到着。
車掌が車掌スイッチを操作してドアを開けます。
運転士は前後スイッチを「後」にかえして、車掌が開けた側の車掌スイッチを「開」側へ操作し、ドアの切り替えが終了したことを車掌へ知らせるベル合図を送ります。
車掌はそのベル合図を確認して、開けていた車掌スイッチを「閉」側に操作します。
この時に運転士が切り替え操作をミスっていなければ、ドアは閉まりません。
車掌はドアの切り替えが無事終わったことを運転士へ知らせるベル合図を送ります。
※会社によっては車掌から運転士へのドア切り替え完了のベル合図を送らない会社も
乗務場所の交代(エンド交換)して出発時間を待ちます。
出発信号機がG(青)現示となり、出発指示合図(発車メロディ)が鳴り終わり、車掌がドアを閉めて出発合図を送ってくるのを待つのですが、戸閉ランプが点灯しない。
しばらくすると車掌が列車無線を入れました。
「車掌スイッチが故障してドアを閉めることができない」
あとで聞いたところ、車掌スイッチを「閉」にした瞬間に駆け込み乗車があったのですぐに「開」にし、乗降完了したため改めて「閉」にしようとしたところ、車掌スイッチが動かなくなってしまった。
車掌スイッチ内部が固着しているようでした。
このままではドアは開けっ放しとなり運転できません。
まずは運転士側の前後スイッチを「後」にして車掌スイッチを「開」にし、車掌はドアのノンヒューズブレーカー(NFB)を落とします。
これで車掌側からは車掌スイッチの操作ができません。
運転士側の車掌スイッチの操作でドアを閉めて、前後スイッチを「前」にして、車掌からの出発合図を受けて列車を起動させます。
この時、戸閉合図灯は点灯しません。
そのため運転士側でリレースイッチを落として、戸閉合図灯が点灯しない状態でも力行が可能にして運転します。
これかなり怖くて、ドアが開きっぱなしでも電車は起動できますから。
車掌は車内放送と出発合図を運転士に送るのと、出発時のホーム監視を行います。
運転士は駅に到着するたびに前後スイッチを「後」にかえして車掌スイッチを操作してドアを開け、乗降が済めば車掌スイッチを操作してドアを閉めて、前後スイッチを「前」にしてから車掌からの出発合図を受けて運転を行います。
同じようなケースですが、途中の駅から車掌スイッチを操作してもドアが開かなくなったこともあり、その時も運転士側から車掌スイッチを操作したことがあります。
この時は車掌側の車掌スイッチは「閉」のままだったので、戸閉合図灯が点灯する分マシでしたね。
車掌時代は車掌スイッチの故障に遭遇しませんでしたが、運転士になってからは3~4回車掌スイッチの故障に当たっています。