私が駅勤務だった昭和56年当時は、今のようなICOCAやsuicaなどIC乗車券というものがまだ存在しておらず、磁気乗車券や磁気定期券が主力でした。
駅に入ってすぐの頃は回数券は磁気化されておらず、普通の紙でミシン目で切り離すタイプ。
そして他社からの連絡きっぷの多くは裏が白い紙のきっぷのほか、厚紙の硬券まだまだ活躍していました。
昔の磁気のきっぷや定期券は裏が茶色でしたが、磁気がかなり弱くてハンドバッグなどの磁石に近付けるだけで磁気が乱れて使用不可。
きっぷや定期券の磁力を強くして、磁石などに近付けてもほとんど影響されないようにしたものは、きっぷや定期券の裏が茶色から黒色に変更されていきました。
磁気によって情報を入力されたきっぷや定期券ですが、その入力方法は意外と単純なものでした。
今ならばデジタルによるデータを直接入力すると思いますが、昔は決められた場所に磁気を入れるか入れないかだけ。
例えばですが最初の2列は年数を入力する箇所で、56年だったら最初の列の5番目に磁気を入れて、2列目は6番目に磁気を入れる。
次の2列が月だとしたら、最初の列の0に磁気を入れて2列目は9番目に磁気を入れることで9月を表す。
こんな感じですね。
駅にはそれぞれ番号があって4桁か5桁だったかな。
※今の駅のナンバーリングとは別で、全国のすべての鉄道の駅に番号が振られていました。今でもあるのかな??
そしてきっぷならば何区のきっぷなのか、定期券の場合は券面も大きいことから下車駅だけではなく経由駅の情報も入れるとかね。
そしてなぜかは知らないけど、一部の駅には金属製の入れ物に入った砂鉄が置いてありました。
何に使うのかは不明でした。
その砂鉄をきっぷや定期券などの廃札の裏にパラパラっとまくと、磁気入力された箇所にくっつくのです。
そしてきっぷや定期券の磁気化の情報(エンコードの情報)が書かれた入社当時の教科書を参考にして
「なるほど、この辺りに料金関係の情報が入っているんだ」
「これが初駅と着駅を示すエンコード情報なんだ」
なんて、夜のヒマな駅でよく実験をしていました。
今の券売機で発売されているきっぷも同じようなエンコードの情報なのかは知りません、ひょっとすると私が昔砂鉄で確認していた情報よりたくさんの磁気情報が入っているのかもしれません。
昔の株主優待乗車証も裏が茶色の磁気化タイプだったのですが、よく期限が切れたものを駅員に渡していく人がいました。
裏面に砂鉄をまくと、定期券とは違った情報が入っているのが分かります。
期間のほかに決まった箇所をカッターなどで削ると、自動改札を通過することができるなんて聞いたことがあり、自社線全線で乗車可能な株主優待乗車証で試したことがありました。
上手くいったら何年間でも使えるフリーパスができると思ってね。
結果は全然ダメで、自動改札の制御盤には期間も区間もエンコードもエラー表示が出て、使い物にはなりません。
個人の思い付きで操作できるほど簡単な仕組みであるはずがないですからね。
今のきっぷや定期券などは、磁気化券であっても昔よりもっと高度な技術で情報が入れられていると思うけど、それだけに砂鉄をパラパラっとまいてどんな感じなのか調べてみたい気もします。