京成高砂駅構内で脱線事故 事故原因は無断での後退だけど・・・

2022年11月17日10時21分ごろ、京成電鉄高砂駅構内で入庫中の車両が脱線。

脱線した車両の収容完了が18時10分、そして運転再開が20時49分と実に10時間半も影響が出た。

脱線した箇所が北総線や京成本線を支障する箇所でもあったため、相当広範囲に影響が及ぶことになりました。

 

原因は構内運転士が電車をバックさせたこと。

京成の車庫の仕組み等が分からないので私には分からないのですが、報道などによると、本来入線すべき番線ではなかったことに気付いた運転士は、乗務位置を替わらず、また車庫信号所や運転指令などに報告せず指示も受けない状態でバックさせ、開通していない転轍機(ポイント)を割り出し、停止したのちに前進させたために後部の車両は別の線路へ乗ることになって脱線した。

また使い回しですが・・・

この運転士は乗務位置を替わらずBの線路をA方向へバックさせた。

ポイントはA⇔C方向で開通していた状態で、BからAの方向に最後部の車両を押し出した。

開通していないポイントを無理やり通過する事象を割り出しといいます。

最前部の乗務位置のままの運転士は、ポイントの状況が分からないまま今度は前進させたために、最後部の車両だけがCの方向へと進んでいった。

いわゆる泣き別れの状態ですね。

Bの方向へと進んでいく車両に引っ張られる形になった、Cの線路に乗っかった最後部の車両は結局脱線した。

 

車庫構内の進路構成はどのようなシステムで行っているのかが分からないのですが、とにかく異線進入に気が付いて許可を得ず、さらに乗務位置を替わることなくバックさせたことが主因ですね。

構内運転士が担当していたということは、後部には誰も乗っていない状態。

つまりは後方の安全確認やらポイントの開通、あとは入換信号機や入換標識も誰も確認していない状態でバックさせてしまったわけです。

これはさすがにまずい事故ですね。

まさか日頃からこのような運転というか取り扱いを無断でしていたとは考えにくいし、異線進入で焦ってしまってやっちゃったのでしょうね。

 

今年は南海の車庫でもポイント割り出しや泣き別れによる脱線事故が発生しています。

この時も構内運転士が運転していたのですが、赤信号を冒進してポイントを割り出し、後退した時に泣き別れで脱線。

今回の京成は構内運転士が乗務場所を替わらずに後退してポイントを割り出し、前進して泣き別れ。

似たような事故が年に2回も起こることは珍しいですね。

 

私が在職していた会社も含めて、車庫構内は最低限の保安装置しか備えていないことが分かります。

会社によっては営業線と同等の保安設備を有する車庫もあるとは思いますが、今回の事故を見てもやはり運転士の注意力と規定の順守に頼っている部分が大きいのが実情ですね。

もちろん運転士がしっかりしていれば問題ないのでしょうが、人間ですから見落としや思い違いはどうしたって起きるもの。

営業路線上は保安装置がかなり充実して利用者等に積極的にアピールはしているけど、一般の利用者には見えない部分である車庫などの保安設備は今でも最低限のものしか備えていない。

 

私が会社に入社してから辞めるまでの30数年間で、営業路線のATSに関しては全く様変わりするほどの変貌ぶりを見せています。

同じ装置を使いながらも速度照査の場所を変えたりもしてきたし、新しいATSにも更新していきましたしね。

ところが車庫の保安装置に関しては30数年間で変わった個所はなかった。

昔のまま放置されており、運転士に対してとにかく口うるさく注意喚起しているにすぎなかった。

もちろん南海や今回の京成の事故は運転士の責任が問われて当然だとは思うけど、営業路線上ならば様々な保安装置によってミスをカバーしてもらえるのに、車庫に関しては何もカバーしてもらえないというのもどうなのかなって思います。

車庫構内での事故はお客さんの負傷事故につながることは稀なことです。

だから車庫構内の保安装置は放置状態なわけですが、車庫が使えなくなることで必要な車両の出庫ができなくなることで、通常の運転本数が確保できなくなることだってある。

そう思うと車庫構内の保安装置の向上も当然必要だとは思うけど、経営者の多くは目立たない・直接儲からない箇所への投資はしませんからね。

 

私がいた乗務区では構内運転士という人はおらず、車庫構内のみの入換作業は車両課の係員。

車庫構内と駅・営業路線との入換(出入庫)は一般の運転士が行っていました。

だから車庫構内の怖さは身に染みわたるほど理解しています。

100km/h以上で本線をぶっ飛ばす以上に、車庫構内での15km/hくらいでの運転のほうがはるかに怖いんです。

ほんとはダメだけど、本線上でちょっとよそ見して信号を見落としたとしても、ATSがカバーしてくれます。

でも車庫では一瞬のよそ見が命取りになりますからね。

車庫での一瞬のよそ見や勘違いで、何人の運転士が職場を去っていったことか・・・

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