するのもされるのもイヤだった「裏面添乗」
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するのもされるのもイヤだった「裏面添乗」

助役や運転指令

裏面添乗とは

ふつうは添乗と言えば乗務員室に乗車することをいい、助役が指導監督したり、施設関係の係員が乗車して目視による点検を行ったり、私がいた会社では原則禁止でしたが乗務員が別の勤務場所へ移送する際に乗車することです。

また便乗など他の勤務場所へ移動する際に客室に乗るのは添乗ではなく乗車です。

裏面添乗とは乗務員の操業状態を隠れてチェックするために客室に乗車するもの。

助役など監督職のほか本社等の社員が行うこともあります。

乗務員時代はもちろん隠れてチェックされる裏面添乗は嫌いでしたが、助役になって自らが裏面添乗を行うのはもっとイヤでした。

 

 

隠れてチェックしないと分からないから

裏面添乗の目的はよく分かります。

監督職がふつうに添乗すれば、その時だけ規則や規定類のほか会社側からお願いしている事項を行う乗務員もいるので、常に正しい操業を行っているのかが分からない。

だから監督職としては隠れてチェックすることで、各乗務員の普段の操業状態を目の当たりにできるので、その後の監督指導に生かすことができるということです。

乗務員って基本は一人で乗務員室に入って仕事をしますから、ドラレコでも積んでいなければ各乗務員の仕事ぶりを確認できない。

※運転状況記録装置にドラレコのような前方のほか乗務員を写すカメラが備えられている会社もあります

でもそのやり方が年々ひどくなってきていたのも、私が助役を辞めた(飛ばされた)原因の一つでもあるのです。

 

昔は裏面添乗だとしても仕事中なのだから役職帽に制服着用が当然だったのですが、次第に役職帽を被らずにカバンにしまい込んでみたり、上着の上にジャンパーを着てみたり、制服を着ずに私服で裏面添乗するなどエスカレート。

分かるんですよ、なぜここまでしなければいけなくなったのかも。

そうせざるを得ない乗務員が増えてきていた事実もあるのですから。

でも私はやっぱりそういうやり方は嫌いだったので、私服で裏面添乗を行う時も必ず乗務員に分かるように、ホームで手を振って今からチェックするから気を付けろよと知らせてみたりしていました。

※何度か上司から怒られましたが……

 

 

裏面添乗で何をチェックするのか

一番は運転士の動作ですね。

指差するようにと指導しているポイントできちんとできているのか。

出発合図が車掌から送られてきたあと、ブレーキを緩めてノッチを入れるまでの間合いをチェックして、手順通りの確認ができているのかを確認したり。

運転中の姿勢なども見ていました。

運転士だけではなく車掌の操業のチェックもしていて、車内放送は適切かどうか、列車が止まって開扉するまでの時間を確認することで、停止位置の確認が正しくできているのか惰性で開けてはいないかなど、たくさんチェック項目がありましたからね。

裏面添乗だけではなく、駅のホームで隠れて車掌の操業を確認することもあったし、出退勤時に乗務員の操業を確認しろとも言われていたし、私は本当にそういう仕事が嫌いでしたよ。

 

ちなみに本社等の社員による裏面添乗は粗探しの傾向が強く、本社から送られてくるレポートには喚呼はしているが声が小さいとか、一瞬よそ見をしたとかくしゃみの際にハンドルから手を離した、髪の毛が長いといったものまでありました。

本社等の裏面添乗に関してはいい加減にしろ!という感情しかありませんでしたが、現場の監督職による裏面添乗はやむを得ないけどやりたくはない、そんな気持ちでした。

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