雨天時の空転で起こるオーバーロード
雨天時に空転を頻発させちゃうことで起こることが多いオーバーロード(過負荷)。
たいていの場合はオーバーロードになった場合、リセット操作を行うことで再び運転を継続することができます。
思いがけず過電流が流れた場合は車両のほうで回路を切断することで、それ以上の大きな電流が流れないようにして車両を保護しているといった感じですね。
この切断状態をリセットすることで再び通常の運行を行うわけです。
私が運転士になったころは、雨天時の空転によるオーバーロードの場合は勝手にリセットしていました。
ただ私が所属していた乗務区では最近はリセット操作も運転指令による許可が必要になっています。
いろいろと問題が多発しましたので。
回生ブレーキでオーバーロード
中にはオーバーロードを引き起こしたために電車線が停電することがあります。
特に車両課が問題視するのは、制動時に起きるオーバーロードです。
私も1度だけ制動時にオーバーロードしたことが原因で電車線を停電させたことがあります。
その車両は私鉄ではおなじみの界磁チョッパ車で回生ブレーキ付き。
いつもと同じようにブレーキを入れると、アンメーター(電流計)の針がいつも以上に下がっています。
例えば回生制動で-400Aが通常だとすれば、この時はその倍の-800Aくらいを指していました。
何だか妙な前後の振動を感じて気持ち悪いと思っていた瞬間
ドカーーン!
と大きな音が聞こえ、この時は本当に爆弾が爆発したのかと思いました。
運転台を見ると過負荷のランプが点灯しており、取りあえずは空気制動のみで駅へ停車させました。
すぐに運転指令から停電区間が発生していることが流され、私が変電所を飛ばしたことが分かりました。
片肺走行
この時の運転指令の指示はリセットせずに運転継続。
オーバーロードした側のユニットを使わず、生きているほうだけで運転しろということです。
仕方ないなと思いノッチを入れるも全く起動しません。
ってことは、この編成の2つのユニットの両方ともがダメになってる?
それで運転指令にリセットすることを伝えて運転再開。
すぐにドカーーン!という音が響き、片側のユニットが不動になります。
でももう片側はなんとか踏ん張っていますので、そのままリセットせずに運転することに。
加速はメチャクチャ悪いですが、こいつがダメになったら他車推進しかなくなりますからね。
何とか車両課員や乗務区の助役が待つ駅までたどり着いて、私はお役御免です。
後で聞いたのですが、ダメになった側のユニットのうち1両は4つあるモーターのうち3つがダメに、もう1両は2つダメになっていたようです。
それに最初にオーバーロードした地点の枕木数本が、モーターからの火花によって焼け焦げていたようです。