なぜ取りに行かなければいけない!
駅や列車内での忘れ物や落し物(以下、遺失物)
うっかりして置き忘れることはあるだろうし、不意に落としてしまうこともあるでしょう。
鉄道なんて大量にお客さんを運んでいるわけですし、日常的に利用する方が大半でしょうから、つい気が緩んでしまうのでしょうか。
私が駅にいたのは1981年から83年ですから、もう40年以上も昔のことですが、その当時でもいました。
「なぜ客が忘れ物を取りに行かなければいけないんだ!」
忘れ物をしたのが駅の券売機付近で、そこで忘れたとされる物のようなものが発見された場合とか、車内で置き忘れて乗務員等が終点だったり乗務交代する駅で駅へ引き渡したり、善意のお客さんが自身が降りる駅で引き渡すこともあるでしょう。
ほとんどの方は面倒くさいなと思いながらでも、自身が忘れたものを引き取りに他の駅へ向かうのですが、中にはいるのですよ、
「客が困っているのだから、ここへ送り届けろ」
とか
「家に着払いで良いから送ってくれ」
忘れ物・落とし物をしたと申し出てきた駅と、その当該物らしき物を預かっている駅とが別の場合はその駅へ行き、申し出されたこと(外観や内容など)と照合して間違いがないだろうと判断した時に返却します。
忘れたものが定期券や免許証など、記載された名前などが一致している場合は回送していましたが、それ以外の場合は回送を断っていました。
一部の社局では他の駅へ回送や、着払いで自宅へ送ってくれることもあるようです。
実際に息子が高校生のころ、落とした学生証をJR京都駅の忘れ物センターから送ってもらったことがあります。
本当に助かったのですが、ちょっと思う部分もありました。
忘れ物に関するトラブル
鉄道会社って列車を運転して人や物を運んで、その対価として運賃・料金を受け取るという商売をしています。
※中には不動産や商業施設が主となっている会社もありますが
ただ人が動けば遺失物は必ず発生しますし、放置しておくわけにもいきませんから、管理する場所と要員が必要になってきます。
都市部の鉄道だと忘れ物センターなどを設けるなど、言っちゃ悪いが、まったく収益を生まないモノに対してかなりも費用をかけているという事実もあります。
しかし多いのですよ、トラブルが。
本当によくあったトラブルは、
「このカバンに入っていた財布がない」
「財布には1万円札が5枚は入っていたはずなのに、小銭しかないじゃないか」
とにかく疑ってくるんですよ、駅員や乗務員が中を抜いたのではと。
あとは破損や傷なんてなかったのに、と文句をつけられたり。
「なぜ私が置き忘れたものが届いていないのだ!」
「お前らが盗ったのではないか!」
こんなのも本当に多かった。
もちろんきちんとお礼してくださって帰って行く方のほうが多いですよ、でもやっぱり文句を言う人の印象が強くて良い感情が残らないんですよね。
駅の2年ほどの間にこういったことを直接言われた経験があるから、良い印象が残るハズもなく……
本来の業務外の仕事の費用
簡単に書けば
本来の輸送業務以外の仕事なのだから、最低でもかかった費用は徴収するべきじゃない?
たとえば列車内の忘れ物の捜索を依頼する場合は、捜索一回につきいくらとか。
遺失物を保管する費用も、当日中は無料で翌日からは1日当たりいくらとか。
自宅宛てに遺失物を送ってもらう場合には、送料のほか梱包代金や手間賃を代引きで払ってもらうとか。
そんなことも必要じゃないのかなって思います。
息子の学生証をJR京都駅の忘れ物センターから送ってもらったときに思ったのもこの部分で、善意ですべてを完了させるのはどうなのかなって思ったのです。
こういうことを書くと反発する方も当然おられると思います。
でも忘れ物をした人や落し物をした人の責任という部分が抜け落ちたままで良いのかなと。
駅は無人化、列車はワンマン化、JRではみどりの窓口も閉鎖という、鉄道利用者への負担を強いておきながら、本来の業務外の遺失物の取扱についてすべて無料で管理しているのは、ちょっと変ではないかなと。
中には忘れ物や落し物をしないように注意して利用している人もいるし、落としたことも置き忘れたこともないという人もいるわけで、そういった方と忘れ物や落し物をした人との料金負担が同じというのは、逆に不公平じゃないのかなと思うのです。
別途のサービスを受けるのだから、別途費用を支払うというのも当然だと思います。
着払いで送っても受け取らないような人が出てくるかもしれませんが、もうそうなれば鉄道社局では保管せずに、当日中にすべて警察へ届けるようにしても良いのかなとも思いますし。
遺失物に関しては警察へ問い合わせてください、でも問題ないようにも思いますし。
遺失物(私がいた会社では遺留品と呼んでいました)に関しては、本当に良い記憶がないし、取り扱い方の変更を含めて考えるべき時だと思います。
私が駅にいたころより人員もかなり少なくなって、管理も昔よりはるかに大変だと思うからよけいにこういうことを思います。