駅でも乗務員でも理不尽・身に覚えのない苦情も多かった
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駅でも乗務員でも理不尽・身に覚えのない苦情も多かった

駅勤務

お客さんから直接お金を受け取る仕事って苦情を受けやすい。

もちろんその苦情がまっとうな内容であればこちらはただ平謝りするばかりですし、上司なり本社なりに連絡した上で場合によっては金銭での補償ということもありますし、菓子折りをもってお詫びに行くということもあります。

でも実際には、それあなたが間違っていますよ、という苦情もかなりありました。

 

 

運転士や車掌への苦情

夕方になりうす暗くなり始めた時間帯に遮光幕(運転士の後ろのカーテン)を閉めた時に猛烈に文句を言われことが何度か。

「前が見えない!」

「子供が見ているのを分かっていて閉めただろ!」

「お金を払って乗っているのだから、前の景色くらい見せてくれてもいいでしょ!」

客室側からこういった言葉を叫びながら、仕切り扉のガラスをガンガン叩きまくってきたり

駅に停車したらホームに降りて、直接文句を言ってくる人もいました。

薄暗くなったので遮光幕を閉めたら強烈な文句を言われました

 

観光目的の鉄道でなおかつ前方を含めた風景で売っているのならば文句を言われても仕方がないとは思うし、そういう鉄道で勤務していたら遮光幕を閉じずに運転するかもしれません。

遊園地の汽車のような乗り物で、前にガラスがなければそもそも遮光幕自体が不必要だから設置もされてはいません。

ところが通常の輸送を任務とする鉄道で、客室からの明かりがフロントガラスに反射して前方が見えにくくなれば、遮光幕を閉めて客室からの明かりが漏れてこないようにします。

そうしないと前方が見えませんからね。

地下線に入る前に遮光幕を閉めるだけでも文句を言ってくる人もいるし、もしも閉めずに走行して事故でも発生すればすべて責任はもってくれるの? って思いますけどね。

 

あとはブレーキがきついとか、いつもよりカーブで揺れたが速度オーバーではないのかとか。

車掌だと出発時刻の前にドアを閉めたとか、放送がうるさい、放送の音量が小さい、エアコンをきちんと作動させろとか。

そして運転士車掌の共通の苦情は

「寝ていたのではないか?」

私も運転士の時に一度、○○駅と○○駅の間で運転士が寝ていたと投書を送り付けられたことがあります。

この寝ていたと投書を送り付けられた日付とその区間の少し前で、カーブを曲がって踏切を見ると渡り切れなかったオートバイがで書いた事象があったので、寝るどころか心臓がバクバクしていてそれどころではなかったのですけどね。

運転士や車掌に身に覚えのない苦情を寄こす人が一定数いて、私はこの件では特に咎められることもありませんでしたが、中にはマジで潔白なのに〝日勤教育〟に回される人もいましたから。

 

 

本当に困った駅での苦情

駅員2年目の時でした。

いつも自動改札を通らずに横の通路を通って、定期券を提示することもなく入出場する小学生がいました。

一緒にいる同級生は自動改札を使って入出場しているのですが、その女児だけはいつも素通り。

私も3~4度は何も言わずにいたのですが、

「自動改札を通ってください、自動改札がイヤだったらこの通路を通っても良いけど、定期券は見せてください」

ある日の下校時間にそう言いました。

この当時の自動改札なんて今ほど高機能なものではなく、有効期間や有効区間、大人と小児のチェック程度しか行っていませんでしたから、自動改札を通さずに入場しても下車駅で自動改札からの出場ができていました。

ムスッとして家に帰っていったその女児ですが、夜7時ごろになって駅長室に苦情の電話を入れてから、母親とその女児が駅長室の助役と一緒にやってきました。

「なぜうちの子を叩いたのですか!」

何が何だか分からず頭の中は「?」マークがいっぱいの状態。

 

でも最初は相番のベテラン駅員を見て、

「この駅員さんに叩かれた!」

と言っていたのですが、私の顔を見ると

「この駅員さんに叩かれた!」

この当時(1982年)は防犯カメラなんて当然ありませんから、叩いた、叩いていないの言い合いにしかなりません。

引き下がれば暴行罪に問われかねない事態になりますから、何があっても引き下がれません。

結局は2時間くらい押し問答となり、駅長室では対応不可能となって本社にすべて任せたようですが、どのような決着を見たのかは分からないまま。

処分されたわけでもないし、この苦情を入れられた駅でその後も勤務したし、その〝被害者〟をこの日以降見ることもなかったし、ちょっと謎です。

 

規則を理解していない人からの苦情

駅勤務のころ本当に多かったのが、規則をまったく理解せずに苦情を言ってくる人。

多かったのが定期券で乗越精算について。

A駅からB駅までの定期券を持っていて、C駅まで乗り越す場合

B駅からC駅までの普通旅客運賃を収受するのですが、A駅からC駅までの普通運賃からA駅からB駅までの普通運賃を引いた額だと言い張る人がいるんですよね。

「昨日定期券の乗越精算で、子供だから分からないと思ってたくさん料金を取ったでしょ!」

と母親が怒鳴り込んできたことがありました。

こういう人って規則をどう説明したって理解してくれませんから困るんですよ。

定期券は持っているけれども普通乗車券は持っていないから、そもそも普通乗車券の差額の計算のやりようががない。

だから差額計算自体が成り立たないのですが。

 

たまにいたのが普通乗車券を見せてきて、

「駅前の店で買い物したいからちょっと通してくれ」

「途中下車できませんよ」

「だったら残っている分の料金を払い戻してくれ」

「いえいえ、この駅で降りる時点でこのきっぷは無効になりますから、払い戻しもできません」

下車前途無効と券面に書いてあっても、意味が分からない人が多いのかな。

 

自動改札にきっぷを投入すると警報音が鳴ってゲートが閉まり、しかたがなくきっぷを持って窓口にやってきた人が、

「なんで出られへんねん!」

きっぷを見ると今勤務している駅からの初乗りのきっぷですから、当然自動改札のゲートは閉まります。

「このきっぷでどこまで行かれていました?」

「どこって、○○駅まで行って帰ってきただけや」

「ではこの駅から○○駅までの往復運賃から、このきっぷの料金を差し引いて〇〇円いただきます」

「何を言うてるんや!ここに帰ってきてどこにも行っていないやろ。なんで銭がいるんや!ホンマやったらこのきっぷも払い戻してもらわなあかんくらいや!」

「駅で降りる降りないは関係なく、電車で運んだ距離の対価として運賃が必要です」

「お前なめとんのか!名前なんていうねん!」

制服に付いている名札を外して、印籠をかざすように顔の前に近づけて

「こういう名前ですけど、何か?」

 

今ならば駅員の態度や言葉遣いが悪いと話を置き換えられて、それに呼応するように事業者側が謝罪するというパターンになると思いますが、80年代前半まで理不尽だったり身に覚えのない苦情に対しては事業者側が追い返していたのだけどなあ。

お客様は神様ではありません。

ただの利用者です。

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