私もそこそこ長い間鉄道業界に身を置きましたが、知事からの要請で終電を繰り上げることになるなんて記憶にありません。
記事によるとJR東日本をはじめ関東の主な私鉄で実施されるようで、3月のダイヤ改正の前倒しではなく、現行のダイヤのままで夜間の列車の運転を取消すことで終電の繰り上げとするようです。
実際のところ飲食店等が早い時間で閉店となると、遅い時間帯の列車は空気を運んでいる状態になるわけですから、鉄道会社側にとっても経費の削減に繋がるから要請に応じやすいというところでしょうか。
ダイヤ改正ではなく、また事故や故障、天候が原因でもないのに定期列車の一部を運休させるというのは、今回のコロナ禍特有の現象ですよ。
地震などの天災であっても、設備が被災しておらず運転が可能な区間は順次運転する。
部分開通で旅客は相当少ないことが見込まれていても、運転可能区間は運休せずに運転を再開する。
それが鉄道の使命なんだろうと思って従事していた身からすると、半公的機関のようだった鉄道会社もふつうの民間会社になったんだなって感じてしまいました。
もちろん働いているときのことを考えれば、終電が早くなることで深夜勤務が幾分軽減されるのは喜ばしいことです。
少しでも早く上がることができれば、そのぶん早く眠ることができますからね。
ただそれはダイヤ改正等で夜間勤務が楽になることを想定した話で、定期列車の削減による終電の繰り上げは喜んで良いことなんだろうかとちょっと考えてしまいます。
ダイヤ改正ではなくてもこれだけ簡単に定期列車の運転を中止できるってことは、これから先もコロナ以外の理由でも定期列車の運転中止を簡単にしちゃう時代が来るのかなぁって思ってしまうのです。
もうそうなると鉄道はいわゆるライフライン(電気・水道・ガスなど)ではなくなった・・・とも思えるわけで。
鉄道よりも通信の方がはるかに上に存在しているということでしょうね。
私が鉄道会社に就職した昭和50年代、会社の教習所で最初に聞いた話
「我々が現場で働いていた頃は乗せてやると言うのが鉄道のスタイルだったけど、これからは乗っていただくというスタイルに変わっていく」
という話を聞いたわけですが都市部の鉄道であっても
「これからも乗っていただけるように努力はするが、ダメな場合は運転の中止も視野に営業していく」
っていうスタイルになるかもしれないですね。