暑すぎる夏
しかし暑い日が続きますね。
この記事は2018年8月の記事を2024年9月11日に書き直し(リライト)ているのですが、私が住む地域の今日の最高気温は34度予想。
もう夏は終わり秋のはずが、天気はまだだまだ夏そのもの。
こう暑いと熱中症対策がまだ必要です。
私が乗務していた頃は水筒の持ち込みもできず、乗務交代寸前の頃には脱水状態で頭がくらくらする状態で運転していましたが、今は水やお茶くらいは持ち込めるようになったのかな?
私が運転士をしていた時代から、会社によっては水筒の持ち込みを認めていた会社もあるようですが、それでも昔は乗務員室内では飲むなと言われていたと聞きます。
一口の水やお茶で安全が担保できるのならば、本当に安い安全対策になるのですけどね。
そのあたりは本社も利用者もちょっと考えてくれればなぁと思います。
気温の上昇が続き、レールが曲がって運行停止に陥ることが増えています。
レールが曲がってしまい通過しようとした列車が脱線した、という事故も過去にはありましたし。
私は高温によってレールが曲がったという経験はありません。
そのためにレールのつなぎ目は間を空けて(遊間)レールの伸びに対応しているのだから大丈夫だろうと思っていましたし、気温上昇が見込まれる日は保線など施設系部署の係員がひっきりなしに添乗しては安全確認していたから、それほど危なくはないのだろうと能天気に考えながら乗務していました。
木製の枕木が発煙しやすい?
暑くて空気が乾燥してくると山火事が多くなります。
気温の上昇で自然発火するそうですが、枕木も同様に暑い日には煙が上がることがあります。
最近ではPC枕木や樹脂製の枕木が大半なので、煙が上がったり燃えてしまうことは少なくなっているとは思いますが、分岐器(ポイント)周辺などには今でも木製の枕木が多く使われており、発煙することがありました。
分岐器の周辺は軋み(きしみ)音の軽減と摩擦係数が上昇して脱線しないようにレール(トングレール)の内側(フランジ)に油を塗布しますし、そのトングレールがスムーズに動くように、トングレールの下の床板部分にも油を塗布します。
すると木製枕木に油がたっぷりと染み込んだ状態になっていて、気温上昇とともに自然発火することは当然考えられることです。
でも枕木からの発煙や発火は真夏の暑い時期以外でも起きます。
その原因として昔からよく言われるのが、制動時に火花が飛んで着火するというもの。
鉄道のブレーキの基本は今でも空気圧によって車輪またはブレーキディスクにブレーキシュー(制輪子)を押し当てて、摩擦によって車輪の回転を止めようというものです。
今では大半の列車が電気ブレーキ(回生)を使用していますし、ほぼ停止状態になるまで空気ブレーキを使わずに停止させることができます。
でも非常ブレーキに関してはほとんどの車両が空気ブレーキに頼っていると思うけど、違うのでしょうか?
私が運転士をしていたころはまだ多くの発電ブレーキの車両が走っており、電動車は発電ブレーキである程度の速度まで落とすことはできますが、モーターを積んでいない付随車は常に空気ブレーキを使用していました。
回生ブレーキの車両も基本的には同じですが、付随車のブレーキに相当する制動力を回生ブレーキで賄う遅れ込め(回生優先)なんてのもありますが、それでも基本はあくまで空気ブレーキ。
この空気ブレーキですが、車輪またはブレーキディスクにブレーキシューを押し当てる時に火花が飛び散ることがあります。
その火花が油が染み込んだ枕木に飛んで行けば、場合によっては発煙・発火するわけです。
たぶん私もブレーキ操作時に火花を飛ばしたことはあるはずですが、煙が上がるまでにはちょっと時間が必要ですから私が枕木を焦がしたかどうかは分かりません……。
晴天時と雨や雪が降る状態とで制動力にあまり差が無いことから、会社(路線や区間)によっては昔ながらの鋳鉄製を用いていることがあります。
私がいた会社では鋳鉄製のブレーキシューは既に使われてはいませんでしたが、一定割合の鋳鉄を混ぜた合成のブレーキシューが使われていたりします。
この鋳鉄ですが、ブレーキをかけた際に細かい破片が飛び散って車掌等の目のケガに繋がることもありますし、ブレーキ時に火花が飛びやすかったりもします。
昔車両課が新しいブレーキシューのチェックを車庫内でしていたことがあり、ちょいと見物させてもらったのですが、強めにブレーキをかけるとかなりの火花が飛び散っていました。
もっとも火花が飛んでいたのは、車輪がロックさせた状態で引きずっている時でしたけど。
とにかく、鋳鉄シューそのものではなくとも、今使われている合成シューにも一定割合で鋳鉄は混ぜられているようですので、空気ブレーキを使うと火花が飛び散る可能性は低くはないということです。
火花や枕木以外の原因
制動時に火花が飛び散るわけですが、何も木の枕木の飛ぶだけではないですよね。
例えば沿線に雑草が生えていて、そのまま放置しているから枯れて茶色くなっているとします。
草は枯れて乾燥すればかなり燃えやすくなりますから、ブレーキの火花が飛べば引火することは十分考えられます。
また木の枕木ではなくとも、PCや合成枕木でも油が付着することはあります。
塗油器が設置されておればその油が直接、または車輪が引きずって塗油器から離れた場所の枕木にも油が付着することはありますし、そもそも台車周りの油が落ちることもあります。
それに加えてタバコのポイ捨てで引火することもありますし、分岐器周りの油と制動時の火花以外の原因ももちろん考えられます。
あまり起きないのですが、転轍機のモーターから発煙したという事例も見聞きしたことがあります。
でも多くの発煙・発火原因は高温による自然発火と、油とブレーキによる火花が原因でしょうね。