スジ屋さん
ダイヤって本社の通称スジ屋さんが作成します。
時間別の乗降数をだけを参考に作ればいいダイヤになるかもしれませんが、実際には本社の上の方からの意見を第一に聞きます。本社の上の方の人たちは経費の削減が第一なので、車両の運用数を減らせといった「要望」をよく下してくるようです。
車両の運用数が減れば、その分の保有編成数を減らせますから、経費の削減としてはかなり大きな効果を生むためです。それでもスジ屋さんは最大限効率化を図りながらも、よいダイヤを作成しようと奮闘します。
今はパソコンを最大限に使って作成しますが、この当時はものさしとペンを使って線を引いていましたよ。
ダイヤはいいけど現場の勝手な判断で
ダイヤ自体は問題が無いはずなのに、現場サイドで手を出すためにうまく運行できないケースもあるのです。
休日の下り優等列車なのですが、〇〇という駅に接近すると必ず遅れるのです。××駅の次の停車駅は〇〇駅で、先行する各駅停車も遅れることなく走行しているにも関わらず。
〇〇駅で入庫する列車があるのですが、ダイヤを組んだ時点での想定では先に入庫させて、そのあとに上り列車を出発させるようになっていたのですが、入庫が多客などで遅れた場合に上り列車に影響がでるという理由で、上り列車を先に出発させてから入庫列車を車庫に入れ、そして問題の下り優等列車を入場させるように現場の考えで変更してしまったのです。
ダイヤでは上り列車の出発時刻と下り優等列車の到着時刻は同じなので、現場の勝手な変更によって100%遅れることになったのです。
乗務員はその列車の遅れの原因をみんな知っている
不思議とその下り優等列車を担当することが多かった私。
100%遅れることが分かりながらの運転です。ふつうに走ればかなり長い時間場内信号機の開通待ちで止められてしまいます。それもイヤなので、途中からノッチを使わずにダラダラと流しながら運転しました。
それでも〇〇駅の場内信号機外方で40~50秒ほど停車しました。ガンガン走ってくれば3~4分は確実に止められてしまいます。
その後も運転を続けて交代する駅にも遅れて到着。交代の引継ぎで遅れた理由を言うと、交代の運転士も心得ていました。
そして乗務区へ戻ると運転担当助役が私のそばにやってきました。
遅れた理由を聞かせろって?
助:「指令が聞いてほしいと言ってきてるのだけど」
私:「何ですか?」
助:「途中まではビッタリ定時で走っていたけど、△△駅あたりから遅れたみたいだけど何かあったのかって」
私:「それって運転指令が真剣に聞いてきてるのですか?」
助:「うん、走行データを見たら△△駅から〇〇駅までの線がすごく寝てるっていうのだけど」
私:「運転指令がそんなことを言ってきたのですか。じゃあ私が直接文句をいいますよ」
助:「いやいや、理由だけ教えてくれたら・・・」
実は〇〇駅での上り出発列車と入庫列車の順序がおかしいと、以前から乗務区にも言っていたし労組側にも伝えていたのです。
なのにあたかも私が何かしでかしたかのように言ってきたので、カチンと来ちゃったのです。
まだ24~5歳の頃の若かりしときでしたから、すぐに文句を言ってたのです(-_-;)
意外と鉄道の現場ってこんな感じで運営されていたのですよ。
もう30年ほど昔の話ですけどね。