スマホで調べる方が早いのに…
もちろんスマホを持っていない人も鉄道を利用しているので、すべてを自分のスマホで調べてくださいと言い返すことはできませんが、中には片手にスマホを持ちながら駅員や乗務員にルートを尋ねてくる人もいます。
いやいや、その手に持っている四角い機械は何ですか?
と問い詰めたい気持ちにもなりますが、鉄道の現場にいると自分のスマホで調べようとはしない人の多さには呆れますよ。
中にはスマホで調べて地図を表示させている人もいるのですが、その画面を水戸黄門の印籠のように顔の前に押し出してきて
「これはどう行けばいいのですか?」
という人も多く、最初のうちは我慢しながら対応していたのですが、こういうことを何度も繰り返されることで、
「老眼の人間に画面を近付けられても見えません」
と言って、スマホの画面を見ることを拒否していました。
そもそも地図を見ても道順が分からない人に、言葉で説明して理解できるとは思えないのですが。
特定の駅で勤務するわけではなかったし
私が駅にいたのは1981年(S56)~1983年(S58)ですので、スマホどころかガラケーもないし、パソコンもNECのPC98シリーズが登場した時代ですから一般的ではなかった時代です。
なので目的の場所までを駅員や乗務員に訊ねることもごく普通のことでした。
ただ私が所属していた鉄道会社では駅は管区制と言って、駅長(管区長)のいる駅とその他の駅を一つのグループ(管区)として運営していて、管区内の駅をすべて担当する体制となっていました。
私が駅員の時に配属されていた管区には9つの駅があり、毎日勤務駅が変わる予備勤務の扱いでした。
担当する駅の周りの官公庁・寺社仏閣・学校は覚えていましたが、それ以外となると各駅(自社路線の全駅)の改札口や階段と列車の停止位置(何両目のどのドアが改札や階段に最も近いか)とかトイレの位置など、設備のことは覚えたりメモ帳に書き残していましたが、それ以上の情報はなかなか覚えられない。
もちろん担当する各駅で頻繁によく聞かれるお店はチェックしていましたが、それ以上のことはさすがに分からない。
そもそも駅員がその駅周辺で生活しているケースなんて皆無でしょうし、休憩時間中に駅周辺をぶらついて街を覚える時間なんてないですからね。
なので駅員が駅周辺のことを分からないのも当然だったりします。
キレられても知らないものは知らないのです
改札の窓口で座っていると40歳前後の女性に、
「〇〇という塾へはどうやって行けばよいですか?」
その女性の手にはその塾のチラシがあり見せてもらいましたが、開業したばかりの新しい学習塾だったようです。
ただそのチラシの地図はかなり簡略されたもので分かりにくく、私はいくら見てもその場所が分かりません。
住所は書かれていたので、駅に置いてある地図で確認したもののちょっと離れているようだし、目印になる建物も私には分からない。
「ちょっと分からないですね」
ウソを言うよりはマシなはずですから正直にそう言うと
「駅で聞いて分からないって、じゃあどうやって私は行けばいいのですか!」
とメチャクチャキレられたことが。
この時は交番を案内して終わりにしましたが。
乗務員をしていて困るのが、住所からどの駅がもっとも近いのかを尋ねてくる人。
今ならばSuicaやICOCAで取りあえず電車に乗って、駅で聞こうとしたら駅員がいないから乗車してから乗務員に尋ねる人も多いのかもしれませんが、昔はきっぷを購入して乗車してから乗務員に聞きに来る人もよくいました。
「○○市○○町○丁目はどこの駅で降りれば近い?」
そんなもの分かるはずがないので分からないと答えると、
「仕事として乗っている路線の住所くらい覚えておけ!」
このパターンでキレられることは何度もありましたが、それは乗車する前に自分で調べておけよとしか言いようがないですからね。
そもそもその住所地が自社沿線なのか他社路線の沿線なのかも知らないし。
あと変わったところでは、
「○○郵便局の局長に会いに行きたいのだけど、どこの駅にその郵便局はあるの?」
街の中の小さな特定郵便局を年老いた方に聞かれたのですが、どこの市にあるのかも分からないので答えようがなかったですが、大声で怒鳴りつけられました。
今だったら、
「その手に持ったスマホで調べれば済む話でしょ?」
と言い返すかもしれないです。。。