駅で勤務していたころお客さんからの問い合わせで
「自転車のカギを失くしたのですが届いていますか」
といったカギの紛失に関する問い合わせが圧倒的多かった記憶があるのですが、
「黒の二つ折りの財布を失くしたのですが届いていますか」
のように、財布に関する問い合わせって意外と少なかったと記憶しています。
財布ですから滅多なことでは落とさないというのもありますし、財布だから失くしても出てくる可能性は低いと思っているからでしょうか。
財布の忘れ物は圧倒的に券売機周辺での置忘れが多かったですね。
suicaやicocaといったIC乗車券なんてなかった時代ですし、券売機で切符を買って乗車するのが当たり前だった時代ですから。
財布がカバンに入っていないことに気づくのって、たいていは電車に乗ってから。
なのでお客さんが下車する駅で申し出て、他の駅の係員からの電話での問い合わせはあったかな。
財布と言えば、入庫した車両の点検の時に車両課の人がたくさん見つけて届けてくることがありました。
多い時には10個前後にはなったかな。
これはシートの隙間から出てきた空の財布で、スリが中身だけを抜き取ってシートの隙間に押し込んで逃げちゃうものなんです。
状況から言うとスラれた財布であることはほぼ間違いないけど、駅としては遺留品(落とし物)として扱っていました。
スリって現金だけを抜き取って、免許証やクレジットカードなどはそのまま残して捨てていってました。
なのでできるだけ落とし主に連絡して状況だけは説明していました。
たいていは
「先日電車の中で酔いつぶれて寝過ごしてしまって・・・」
という答えが返ってきていました。
財布の忘れ物と言えば運転士時代の末期だったのですが、終点の駅でエンド交換のためにホームに降りたとたんに
「○○駅の券売機のところに財布を忘れたのです」
と60オーバーの女性に声を掛けられました。
話を聞いていると、その駅に連絡してその財布を駅で預かっておいてほしい、帰りに取りに行くとのこと。
「ホーム上や電車から個別の駅へ連絡をすることはできません、この駅の駅係員に申し出て財布を探してもらうように○○駅へ連絡を取ってもらってください」
するとその女性は
「あなたの会社はサービスが悪いわね!客がお願いしているのに!だいたい探すって、つい10分ほど前に忘れただけなのよ・・・」
と反論してきました。
「ご自分で忘れたわけですから、ご自分の足と口くらいは使われたらどうですか?」
こう言うとムスッとしながら消えていきました。
この女性は結局自分ではマジで何もしなかったようで、財布を忘れた○○駅で夕方に
「運転士にお願いして財布を預かっておくようにと言ったのに、なぜ財布がないの!」
とかなりのトラブルになったそうです。
駅係員には悪いことをしましたけど、駅でもその女性を追い返したと後日聞きました。