昨日(2019/2/25)は停電の影響で中央線と総武線で4時間にわたって運転見合わせが続き、通勤通学客をはじめ国公立大入試二次試験の前期日程を受験する受験生にも影響が及んだようですね。
とにかく電車という乗り物は架線など(電車線)から電気の供給を受けて走行するものですから、電気がなければ当然ですが走行できません。
しかし電車線だけではなく信号用の高圧など鉄道ってかなりの部分で電気に頼っています。
JR東日本のように一部でも自前で発電設備を備えている会社はまれで、ふつうは東京電力や関西電力などの電力会社から電気の供給を受けています。
説明する必要もないとは思いますが、電力会社から供給を受けた電気は各鉄道会社の変電所を経由して使用されています。(信号高圧は別ですが)
なのでAという町の大部分で停電が起こったとしても、鉄道会社の変電所がAという町にない場合には特に影響を受けずに列車は走行できます。
※駅の設備などでは影響は出ますが
停電で多いケースって何があるのかなと思い返してみたのですが、変電所に雷が落ちて停電というケースには何度か遭遇しました。
古い車両を担当中に電車線が停電すると、MG(電動発電機)が止まってしまうためにそれを知らせるランプが点灯します。
そしてMGが止まるので車内の蛍光灯が消えて蓄電池で点灯する非常灯がボワーっとつくんですよ。
冷暖房はもちろん止まりますし、前照灯(ヘッドライト)も消灯しちゃいますし。
使えるものって蓄電池で動作するマイクと列車無線くらいになりますね。
※最近の車両は改良されて蓄電池で前照灯もつくようになっています
最悪だった停電の経験は、始発駅を出発したときに起こりました。
もう相当昔の話ですけども。
列車の最後部がホームから出てすぐのあたりで、前方の閉塞信号機が突然消灯。
ATSの回路への電気供給も絶たれたために非常制動が自動的に動作します。
何気に電圧計を見ると0V
信号高圧も電車線もその他の設備用の低圧もすべてが同時に停電になったのです。
とりあえず無線で状況を報告するのですが、運転指令からは何の返答もありません。
もうこうなると運転士は何もできません。
ただ車掌さんに対して
「停電で動かせそうにないから放送だけしてください」
とインターホンで伝えることくらいでしたね。
自分ではかなり長く止まった気がしましたが、とりあえず前方の閉塞信号機がG(青)現示となり、電車線に電気が戻ってきたので運転を再開。
交代駅に到着したときには約10分の遅れでした。
聞くと始発駅周辺で電圧降下が起こり大規模な停電となった。
始発駅内には変電設備があり電車線への電力供給のほか、信号高圧なども取り入れている場所だったために全面的な停電になったらしい。
そして運転指令をはじめ駅の設備もすべてが停電したためにどうしようもなかったと言うのです。
この駅周辺の街中限定でなおかつ短時間だったので大きな混乱は起きませんでし、この時のことは報道されなかったような記憶があります。