東北新幹線の「はやぶさ・こまち27号」を東京から仙台まで担当した運転士。
この運転士は仙台駅で交替のはずが、仙台駅から担当する運転士が交替位置にやってきていない。
そこで輸送指令(運転指令)に連絡したのか、はたまた仙台の運輸区に連絡したのかは分かりませんが、とにかく連絡によって担当運転士が慌ててやってきて、結果的に下り2本に7分の遅れが生じた。
交替時刻を勘違いしていたらしい。
「ホームに出る時間を勘違いした」JR仙台駅で運転士の出場遅れ“東北新幹線2本に7分の遅れ”
私が乗務員時代はまだアナログの時代で、車掌は紙の車掌スタフを目につく場所に置いていたり、運転士はすべての仕業が冊子になった行路表を頻繁に見て確認して遅れないように注意していた。
それでも数分前には覚えていた交替時刻を忘れそうになることはどうしてもあるので、乗組みの運転士と車掌の間で声を掛け合ったり、周りの乗務員が「お前そろそろ時間と違うか?」なんて声を掛けることもあった。
でも交替の乗務員が交替場所に来ていないことは頻繁にありました。
乗務交替する駅は何駅かありましたが、もっともよく交替する駅は優等列車が停車するし緩急接続を行う駅。
交替時刻は列車が到着する時刻なのですが、各駅停車は数分間停車して優等列車が先に出発してからそのあとを追うように出発します。
すると到着時刻ではなく、出発時刻に合わせてホームに行く運転士や車掌が多くなるのです。
よくあるのが各駅停車と優等列車の担当乗務員が一緒に並んで交替へ行く様子です。
こんなのが本当によくありました。
会社はそんなことは認めてはいないのですが、昔の乗務員はそれが当たり前という感じで仕事していましたから。
各駅停車担当で緩急接続で5分ほどの停車時間があるのに、到着時間までに交替位置へ行く運転士は、新人かそろそろ助役のポストを狙うヤツみたいな言われ方をしていて、当たり前であるはずの交替時間にホームへ行きづらい雰囲気が漂っていましたから。
なので各駅停車を担当して交替駅に到着しても、交替の運転士や車掌がいないことなんて珍しくはなく、いなくても何も気にせずに乗務員室から出ていました。
こういうことが常態化していると、今度は優等列車担当なのに各駅停車だと勘違いしてしまい、まだ5分ほどあるとゆっくり交替に行って出発を遅らせてしまうということも起こってしまい、徐々に交替に関して厳正な執務が求められるようになり、今ではおそらく列車到着前に交替場所に立つ乗務員が大半になっていると思います。
さて今回のJR東日本での交替遅れですが、一説によると私の時代には主流だった〝紙〟から〝デジタル〟になったのも原因ではないかと囁かれているようです。
昔は運転士も車掌も紙のスタフや行路表で時間を確認していました。
その列車の運転に必要なことだけが書かれている紙に対して、JR東はタブレットに置き換わっている。
タブレットは担当列車に必要な情報以外にも、様々な情報が会社側から送られてくることから、肝心な交替時間がパッと一目では分かりづらくなっていると。
情報は多い方が良いのかもしれません。
遅れや運休が発生した場合には、いろいろな情報がある方が便利ですからね。
でも最も日常的に必要な交替時間だったり交替場所や便乗時間の情報が、パッと見てすぐに分からない状態なのはちょっと問題かなと思います。
乗務員は毎日違った仕業に乗務しているため、目で見て確認することが重要なのです。
私がいた会社でも徐々にデジタル化されているようですが、交替時間などはパッと見て分かるように紙などのアナログの方が良いのかもしれません。