最近は電波時計を使用する人が多く、列車の定時発車にはかなり気を使いながら乗務をしている人が多いと思います。
しかし電波時計だけではなく、意外なもので正確な時間を確認しているケースもあるのです。
私が運転士時代の話ですが、ある駅の真裏に家を構えている方がいました。
毎朝同じテレビを見ているらしく、テレビの左上に出ている時間を見る癖もついたらしい。
ある日いつもと同じようにテレビを見ていたのですが、電車が出発するタイミングがいつもと違うと感じたそうです。
テレビの画面に表示されている時間が7:30になってからいつもは発車しているはずなのに、その日はまだ7:29の表示だったというのです。
それからはテレビの時間を表示を気にしながら、電車の出発時間をチェックするようになったらしいのです。
その列車の出発時間は実は7:29.45ですから、テレビの時間表示が7:29のときに電車が動き出したとしても何の問題もありません。
でもたいがいその列車は遅れ気味で、その駅を30~40秒は遅れて出発することがほとんどだったのです。
で
その列車を7:29に出発させたのは私でして、私は後日その人からの投書で事情聴取を受ける羽目に。
別に悪いことをしたわけではないので怒られはしませんでしたが。
その投書には
“どういった事情があるのかは知りませんが、いつもよりも早く出発させるのはあきらかにおかしい”
といったようなことが書かれていたみたいです。
おそらく本社の方からその人に返答したと思うのですが、その方は納得がいかなかったらしく駅へ行って配布用の時刻表を入手したそうなのですが、それを見てまた怒ったらしいのです。
“都合が良いように出発時間を7:29に書き換えただろ!”
それ以降も頻繁に投書を送ってきて、7:29に出発した日は〇日みたいなことが書かれていたようなのです。
沿線の学校が長期の休みになるとほとんど遅れることはなくなり、連日7:29に出発します。
すると投書はいったん治まったのですが、新学期が始まり電車が再び遅れだすと今度は
“ほぼ毎日のように遅れるということはダイヤに無理があるのではないか!日によって出発時間が違うのはおかしい”
と、それまでとは違った投書を送ってくるようになりました。
ただし
この方はほとんど電車に乗ることはなく、ただ出発時間だけをチェックしていた人でした。。。