鉄道の事故に関する報道では必ず
運転士が気付きましたが「急ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しています。
という決まったフレーズを見ますよね。
何か事故を起こした運転士がマスコミの取材を受けたりはしないので、会社の広報がマスコミに発表したものが報道されています。
まさか
「運転士は前をよく見ておらず、気付いて急ブレーキをかけたが間に合わなかった」
なんてことは発表されることはありませんよね。
この
“急ブレーキをかけたが間に合わなかった”
という決まりきったセリフですが、電車のブレーキ特性から言って間に合うはずがないのです。
基本的な制動距離の算出ですが
速度×速度÷20 で計算されます。
100㎞/hで走っていれば
100×100÷20=500
なので基本的には500mで止まります。
当然勾配や曲線、天候や乗車人員によって変わってきますけどね。
非常ブレーキの場合はさらに70~80%程度の距離になるので、100㎞/hで走行中に非常ブレーキを入れれば350mから400mほどで止まることになります。
時速100㎞/hで走行中、前方の踏切に人が立ち入っていることを発見します。
きれいな直線だとしても、実際のところ300mとか400m手前で見つけることは困難です。
視界に入って気付いてすぐに非常ブレーキを入れたとしても、その踏切までに止まることは無理でしょうね。
もちろん速度が低ければ間に合うかもしれません。
60㎞/hからの非常制動だと130mから140mといったところですから。
私も走行中に非常ブレーキを入れたことは過去何度もあります。
でもおかしいと思って非常ブレーキを入れても、一度もその現場までに止めれたことはありません。
幸い人と列車との接触事故は経験がありませんでしたが、放置された自転車とか飛来したゴミとの接触はありました。
2~3回はあったでしょうか。
いつもとバラストの形状が違うなぁと思いながら接近していくと、犬走り付近にうつ伏せ状態になっている人が目に飛び込んできた。
まずいと思って非常ブレーキをかけたところで止まるわけはありません。
非常ブレーキを入れながら運転台からのぞいていると、うつ伏せになってカメラを構えているマニアでした。
心臓がバクバクしながら頭に血が上って・・・
接触しなかったからいいようなものの、運転台下のステップに頭がコンッて当たっただけでアウトですからね。
急ブレーキをかけたが間に合わなかったと、あの世でマスコミ発表を聞かずに済むように行動してくださいね。