先日京成線で人身事故があり、長い時間踏切が閉まりっぱなしになったことに腹を立てて、遮断桿をのこぎりで切って自動車を通行させた男性が、器物損壊の疑いで逮捕されるという事件がありました。
たしかに長時間踏切が閉まりっぱなしだと腹も立ちますし、無視して強引に渡ろうと思う気持ちも分かります。
ただ遮断桿をのこぎりで切ってしまうというのは、私も長年この業界に身を置きましたがはじめて見聞きしました。
仕事で必要だからのこぎりを所持していたのでしょうか。
報道では遮断機を切断という言い方がされていますが、遮断機って通行を制止するユニットすべてを指すもので、今回切断されたのは遮断桿(しゃだんかん)ですね。
遮断棒とかアームなんて言い方もされています。
私が駅勤務の時ですが、駅長所在駅の事務室で内勤をしていると関連のバス会社から電話がかかってきました。
「バスが全然定時運行できないが、いつになったら踏切は開くのだ!」
この時も人身事故で長時間踏切が閉まりっぱなしになっていたのですが、その踏切を運行ルートとしていた関連のバス会社の事業所のトップから怒りの電話がかかってきたのでした。
私はヒラの駅員だったのであとは首席助役に対応をお任せしたのですが
「踏切なんて駅は関係ないがな」
と言って乗務区の首席助役に鉄道電話で
「バスのほうから怒られたやないか!手動扱いで早く開けろ!」
こんな感じで駅と列車区っていつもケンカしていましたよ。
踏切を手動で動作させることはもちろん可能ですが、係員が数人必要になってくるので全部の踏切に配置することは現状では無理です。
今回の遮断桿切断の様子は別の車からスマホで撮影されたものが広く出回りました。
カメラを設置している踏切って現状では少数です。
設置してあっても映像データは運転指令に送られて、踏切内で滞留してしまう様子などモニターで見ているにすぎません。
障害物検知装置の動作が気になっているだけで、よく踏切内で滞留してしまう個所に重点的に設置しているのです。
でも今の時代ならば各踏切にカメラを設置してもいいのではないかなと思いますね。