駅間の閉塞信号機のうち1つが無現示の場合、その外方にいったん停車して運転指令の指示を受けて運転します。
また閉塞信号機が1つだけ無現示の場合には、閉塞方式は変更しません。
ところが信じられないことがありました。
その区間を運転していた運転士数人が、閉塞信号機が無現示だったことに気付かずに運転をしていたのです。
その日私は予備勤務だったので、乗務員休憩所で非常時に備えて待機していました。
休憩所には列車無線のモニターが置いてありますので、列車側からの送信内容も聞くことが出来ます。
「運転指令!こちらは第〇〇列車担当中の車掌です」
車掌からの無線連絡だったのですが、たいてい車掌からの無線連絡って泥酔者対応か嘔吐物の処理、あとは体調不良のお客さんの対応の手配がほとんど。
この時は朝ラッシュが一段落した9時過ぎだったと記憶していますので、体調不良のお客さんかなって思ったわけですが
「〇〇駅~△△駅間上り線の〇閉塞信号機の青色だけがついていません」
青色だけがついていない?
と私もすぐ思ったのですが運転指令も同様だったようで
「青色だけがついていないということですが・・・」
「無現示だった閉塞信号機を上り列車が踏み込んだ後、R現示は点灯しました」
あとでこの車掌本人に聞いたところ、後方を見ていたら信号機が無現示だなぁと思っていたところへ上りの優等列車が通過し、踏み込んだ後はR現示を確認できたのだそう。
運転指令はすぐに後続の列車に閉塞信号機の現示状態を確認するように指示。
確認したところやはり無現示だったことがわかり、なおかつATSはY(黄)やR(赤)が現示された時のような動作もしない。
R(赤)現示ならば信号機の手前でATS制動が動作して停車しますからね。
また信号機の故障による無現示の場合も、ATS制動が動作して信号機を超えない範囲までに停車させられてしまいます。
結局と言うかやはり青色の部分の電球が切れていただけでしたが、問題はいつこの電球が切れたかですね。
一応報告書上は、下り列車の車掌が目撃した際の運転士だけが見落としていた、ということになりました。
が
いろいろと聞いていると、現示していないような気がしながら当該信号機を通過したという運転士がゴロゴロ。
別の車掌も無現示だったことを確認していたこともあり、おそらくは7~8人の運転士が無現示を見落として通過していたようなのです。
この当時はまだLEDの信号機なんて無かった時代で、天気が良い日なんてG(青)現示がほぼ見えない状態で運転していましたからね。
ダメならATSが動作してブレーキがかかるだろう・・・